未来からのメッセージを、今を生きる誰かの力に変えていけたら。
「コップに溜まっていく努力」は、本人にはその溜まり具合がよく見えないものだと言われます。
あともう少しで溢れ出し、報われる瞬間が来るとしても、渦中にいる人間にはそれがいつ終わるともしれない果てしない道に見えてしまう。
それを継続するには、並大抵ではない気力や根性が必要です。
小説やドラマでは、そんな状況を理解している「未来の自分」や「大切な人」が時空を超えて応援に来る、という物語があります。
「もう少しで報われるから」「もうすぐ幸せになれるから」と励まされるストーリーです。
プリンセス プリンセスの楽曲「ONE」にも、そんな情景が描かれています。
かつて恋に迷い、孤独に震えていた過去の自分に向けて、未来の自分がこう語りかけます。
恋を失くしてさむさに泣いていた
一人きりのあの頃の私に伝えたい
「ねえ、泣かないで大丈夫。
あなたの最後の恋に今ここでやっとめぐり逢えた」とプリンセス プリンセス / ONE
この曲を初めて聴いた時、私は心を強く揺さぶられました。
楽曲のハイライトで音が止まり、そこから弦楽器の調べが引き継がれる展開は、これまでの哀しみが昇華され、運命の出会いへと導かれる予兆のように感じられます。
そして、前述の温かな歌詞へと繋がっていくのです。
「未来がわからないからこそ、人は希望を失わずにいられる」という言葉があります。
確かにその通りかもしれません。
しかし、今を生きるのが辛く苦しい時、「あともう少しだ」と確信できれば、最後の一歩を踏み出す勇気が湧いてくるのも事実です。
「これが最後の踏ん張りどころだ」とゴールが見えれば、残った力を振り絞る気力が生まれます。
一方で、もし未来がすべてわかってしまったら……。
成功ではなく失敗することが見えてしまう場面もあるでしょう。
現実にはその方が多いかもしれず、かえって気力を削がれてしまう可能性もあります。
そんな「未来からのメッセージ」を鮮烈に描いたものとして、MUSEの楽曲「Follow Me」と鉄拳さんのパラパラ漫画がコラボレーションした動画も忘れられません。
繰り返される誤解や哀しみに自暴自棄になる男女。
その出会いもまた、未来からのメッセージでした。
鉄拳さんの作品はどれも胸を打ちますが、このMUSEの楽曲との組み合わせは格別です。
私自身は、自分のために「未来からのメッセージを受け取りたい」と思ったことはありません。
けれど、大切な人が幼い頃に寂しい思いをしていた話や、いじめ、孤独に耐えていた話を聞くと、どうしても思ってしまうのです。
当時のその人のもとへ駆けつけ、未来から精一杯の応援を届けてあげたい、と。
かつて哲学の講義で、「起きてしまった出来事の意味を、後から見出すこと」を宗教的な理解の方法であると学んだことがあります。
それは、過酷な過去であっても「今の自分に繋がるための大切なプロセスだった」と受け入れ、次へ進むための糧とする心の作法です。
私が過去のその人に「大丈夫だよ」と声をかけたいと願うのは、その孤独だった時間にも、いつか必ず温かな「意味」が宿る日が来ると、心から信じているからなのかもしれません。
ろくでもない、この世界に。
それでも、こんな世の中でも必ず報われる日が来ると、私は信じ続けたいのです。
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