
EAGLEのLONG ROAD OUT OF EDEN。
発売時に取引先の社長さんから、いいから聴いてみろと言われて、CDを頂いた事がありました。
当時は退屈な限りでしたが、今はその素晴らしさを実感します。
ギラギラしていた頃は、大人の余裕は理解が出来ないのかもしれません。
芳醇な美味しいウィスキーの味は理解できない。
手っ取り早く酔っぱらう事を目的に、ひたすらビールをグビグビ一気飲み。
味わうのではなく、ただ酔うだけの薬(そんな薬があるなら…)に近い飲み方と同じ聴き方です。
感じたりする事や人生の経験に照らしてなんて、幼稚でしたので出来ません。
今、少しはそのアルバムを聴いて、退屈どころか、素晴らしいと思うのでちょっと進歩したのでしょうか。
ありがたい事に、小学生から付き合いの続く友人がいます。
お互いにあまり遠慮がありません。
互いに就職して、そんなに時間が経過していない頃の事です。
彼は私に「いつまでの、誰かの評価の中、誰かの評価の軸で、仕事するのは嫌だ」と言っていました。
それを聞いた当時の私は「だから、早く評価する側になればいい」と言いました。
「そういうんじゃないんだよ」と彼の返答でした。
その時の自分は、同僚とも競い合うような、職場にはそんな環境がありました。
また、そんなヒリヒリする様な環境が好きでした。
だから当時の私には、彼の言葉は言い訳に聞こえていました。
やがて、私はいろいろな事が上手く行かなくなります。
最初のスタートは早く、全力疾走が続いていたので、立ち止まれば、落下する速度は加速度付きでした。
次の就職先も決めずに辞めました。
彼はよく私の部屋に来ていました。
午後に来て、西日の差す部屋でお菓子を食べながら、漫画や雑誌を見ては帰りました。
私はその事を、特別に気にする事もありませんでした。
再就職の活動は始めていましたが、外出するより部屋にいる事は多く、彼はそれを知っていました。
後から聞きましたが、当時の私の様子は、生涯でもこれまで見た事がないぐらい落ち込んでいたそうです。
彼は、寄り添っていてくれたのだと思います。
私も誰かがいてくれる事がよかったのだと思います。
何もする事がないのは、落ち着きません。
そこで、戦艦大和のプラモデルを無言で黙々と作っていました。
その時、フト思い出したのです。
吉田満氏著作「戦艦大和ノ最期」の記載のある臼淵大尉の言葉です。
「進歩のない者は決して勝たない。
負けて目覚める事が最上の道だ。
日本は進歩という事を軽んじ過ぎた。
私的な潔癖や徳義に拘って、本当の進歩を忘れてきた。
敗れて目覚める、それ以外にどうして日本が救われるか。
今目覚めずしていつ救われるか。
俺達はその先導になるのだ。
日本の新生に先駆けて散る。
まさに本望じゃあないか」
引用終わり。
負けて目覚める。
敗れて目覚める。
その彼も就職をします。
外資系のファッションメーカーでしたが、彼もほどなくして、辞める事を選択します。
私の部屋へやってきた彼が言いました。
「俺さ、スイスのホテル学校へ行こうと考えているんだよね。どう思う?」
相談がてらそう言った彼に、私は「そうすればいい」と即答しました。
「そういうと思ったよ」と彼は笑いました。
私は「自分の友人にホテルマンを目指し、スイスのホテル学校に留学している友達がいる。それは俺の誇りだよ」
そう話しました。
互いに、今は別々の場所で働いていますが、あの琥珀色の時間は今も私たちの底を流れています。
人は弱さを抱えながらも、目覚め、進歩し続けることができる。
そのことを、私は彼との時間から教わったのだと思います。
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