「ひとりぼっち」が、誰かを救う光になる時。「夢の帰る場所」と、分かち合える孤独。
1994年玉置浩二さんが、本田美奈子さんと共演した単発ドラマ「夢の帰る場所」。
このドラマの事を時折思い出します。
ドラマのクライマックスで、劇中玉置浩二さんが演じるタクシードライバーが、本田美奈子さん演じるアイドル歌手に語ります。
「だから言ったろ。ジョンレノンが死んでから、みんなひとりぼっちだって…」
ジョン・レノンの死は、多くの人の心に、まるで置き去りにされたような、共通の寂しさを感じさせた事件だったのかもしれません。
その死は、ジョン・レノンが象徴していた平和や愛、連帯といったものが、突然失われたかのような衝撃を世界に与えました。
その喪失感から「みんなひとりぼっち」という感覚が生まれたのは、ある意味自然なことだったのかもしれません。
このセリフの後、マンションから投身自殺を図ります。
ベランダに立ちあがったその時、「違う!今感じているその孤独が多くの人を救う。
同じ思いをしている人で、共感してくれる人、あなたが苦しんだ事で、同じ思いの人を救えるんだ。
膝を抱えて、あなたが現れるのを待っている!」と思ったのです。
涙が止まりませんでした。
孤独を感じることは、辛い体験です。
渦中にあれば、その事以外を考える事、思う事はとても難しいです。
でも、その孤独を通して「同じ思いをしている人がいる」と気づき、「あなたの苦しみが誰かを救う力になる」という希望を見出すことができる。
でも、自分が知り得る以上の、孤独や哀しみを抱えた人がいます。
そんな事は、思い上がりだと思う日もあります。
でも、様々な場面で、フィクションである映画や小説の中でさえ、自らの思いを投影できる場面があります。
人が感じる感情には、それぞれに意味があると私は信じています。
特に痛みや苦しみといった感情は、それが深いほどに、他者との共感を生み出し、繋がりを深めるきっかけになることがあります。
「違う!今感じているその孤独が多くの人を救う」と感じたように、自身の経験が誰かの光になる。
そう信じることは、大きな力になります。
事更にその事を吹聴する必要はないと思います。
必要な時でなければ、そんな話はうっとしいだけです。
「ひとりぼっち」という感情こそが、実は多くの人をつなぐきっかけにもなると感じています。
同じように寂しさや孤独を感じている人がいることを知ることで、人は共感を覚え「自分だけじゃない」という安心感を得ることができます。
このセリフは、一見すると絶望的に聞こえるけれど、その裏には、人々が分かち合える感情の深さを示しているようにも感じられます。
「夢の帰る場所」で流れた劇中歌の「Sacred Love」
このドラマの後に発売された玉置浩二さんのアルバム「Love Song Blue」の、その発売を心待ちにしていました。
ドラマには、既に共感者が現れています。
小さな女の子でした。
その子が抱えていた哀しみ、大人たちの誤解、そして孤独が描かれるシーンは、本当に哀しくなりました。
人の世の終わらない哀しみに、やるせない感情が込み上げてきます。
純粋な子供が、大人の世界の複雑さや不器用さによって傷ついていく姿は、観ている側の心にも深い傷跡を残します。
あのドラマは、単なるフィクションとしてではなく、誰もが経験しうる、または目の当たりにするかもしれない人間の本質的な部分を鋭く描いていたからこそ、あんなにも共感したのだと思います。
「Sacred Love」のメロディーと歌詞が、その哀しみをさらに深く、美しく際立たせていました。
歌が上手い事は、書くだけ野暮です。
私たちの心の中に、「人は皆、多かれ少なかれ孤独や哀しみを抱えている」という普遍的な真実を教えてくれている思いがあります。
そして、だからこそ、互いを理解し、支え合うことの大切さを改めて感じさせてくれます。
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