趣味

高度な機械のかたまりなのか、相棒なのか…私の大切な相棒。

雨で思い出した事からの連想です。

大学生の頃、車で出かけて遅くなった帰り道の事です。
風雨が激しくなり、高速道路が次々に通行止めになって行きます。
イメージとしては、自分が通過したインターから順次という感覚でした。
走行する車も殆どありません。

当時、私は親父から譲ってもらったスカイラインジャパンに乗っていました。
マニュアルシフトでした。

激しい風雨の中、視界は悪いのですが、しっかりと走ります。
水が溜まるカーブでも、水しぶきを激しく上げながら、レールがある様に走ります。
楽しくなったし、自分の愛車にすっかり気持ちが入りました。

幼い頃から自転車が大好きで、ふらふらと出かけて行きました。
自転車は大切な相棒だったのです。
そんな頃から、自転車を擬人化しており、遠くへ行っても(幼い時分には遠く)一緒だから大丈夫…なんて思っていました。

まさに、このスカイラインも同じで、厳しい環境を走るのに頼もしく思っていたのです。
つきつめれば車の性能の高さに裏付けられるわけですが、私には頼もしい相棒だったのです。
私だけの相棒だったのです。

この車は事故で失いました。
私が追突事故を起こしたのです。

事故後に駐車場で引取りを待つ車を見ていました。
フロントはめくれあがり、ヘッドライトはあらぬ方向を向いています。
冷却水が血の滴の如く、ぽたぽたと落ち続けています。
しかし、乗車していた私は無傷でした。

そんな無残な姿を見ながら、私は思いました。
痛かっただろうに、ゴメンな。
もう少し走りたかっただろうに…。
でも、車で一番大事な安全性が証明されたよ。
なぜなら、私がここに無傷でいるのだから…。

それからスカイラインはR31 R32 R34と乗り続けましたが、それぞれに名前がついていました。
どれも素晴らしい相棒でした。
それぞれに、それぞれのたくさんの想い出があります。

車は機械の集まりであり、擬人化するのはおかしいかもしれません。
AIが搭載され、いずれ本当に擬人化されてゆくでしょう。
スカイラインは何も話してはくれませんでしたが、エンジンの好不調、ブレーキ音などで、車の状態を探りながら会話をしていました。

深夜、エンジンを停止した後、しばらくして周りの音が聞こえています。
虫の声。
風が木々を揺らす音。
誰かが歩く音。
遠くから聞こえてくる生活音。

耳を澄まし、周りの音に注意をすると、しばらくしてシリンダーが冷える「チン、チン」という音が聞こえてきます。
生きている実感を感じた事がありました。
シリンダーが冷える音は、愛車がゆっくり深呼吸している様にも感じたのです。
そうして、車内にいるのが好きでした。