恋占い
しあわせな恋人同士は時として不安になる。
このまま、このしあわせが続いてほしい…。
このまま、このしあわせが続くのだろうか…。
あの人は本当に、私の事を大切に思っているか…。
そんな時、不安から占いに頼る事がありますね。
インチキ占い師の手法です。
占いに来た人にいくつかの問い合わせをします。
例えば「あなたは…好きな人には甘えるタイプでよね?」
ガビーン(昭和の表現です)。
これが、的中だったりします。
質問も誰にでも当てはまる様な質問を、その本人しか当てはまらない様な話し方で訊くのです。
すると、以後占い師が言う事は、自分をわかってくれた上で話していると、聞く方が誤解をします。
とっても素直な心で聴いてしまうのです。
営業場面でも、使い古された手法です。
でも、しわせを信じる互いの前に、占い師さんが不幸な結果を示したのなら…。
彼がこう言えばいい。
「運命だとしても、この結果を自分で変えてみせる」
悪い結果は忘れようとしても、心の片隅に残ります。
何か悪い事があれば「やっぱり、あの占いの結果が…」と考える事があるのは、不思議な事ではありません。
迷いが生じていれば、なおさらです。
しかし、彼が強い心で「あの結果は、俺が変えてみせる」と思っているならば、やっぱり彼女は彼を信用すると思います。
そのエネルギーの方が必ず強い。
「自分の思う運命は、自分でたぐり寄せる」
この強さに勝る、未来を切り拓く力は他にないでしょう。
いい占い師さんなら実はあえて、その力を呼び覚ます為に厳しい事を言うのかもしれません。
妻は私と結婚する前に、占い師のどこぞの母に「これから結婚するまでに3人現れるので、よく注意して選びなさい」と言われたそうです。
その話を聞かされた私は、こう答えました。
「私はひとりで3人分はあるので、次はもう現れない」
言っておきますが、体重の事ではありません。
織田信長の生涯を描いた「下天は夢か」に、こんな話が書かれています。
「若さま、古いしきたりを破るのは、考えものでござります。いかなる不運を招くやも知れませぬ」
信長はあざ笑った。
「不運がおそろしいか」
信長の身内で、憤怒が火花のようにはじけた。
林通勝は低く重い声音で、信長を脅かした。歴戦の老武者の意見には、おびただしい経験の裏づけがあるように思えた。
信長は一瞬、みぞおちに怯えを揺らめかせた自分に立腹し、頬に血のいろをのぼせ、林を睨めすえる。
「不運を招くとは何じゃ。戦にうち負け、死ぬことであろうが。死ぬのを怖れる侍は、生きておったとて、死んでおるようなものじゃ」
下天は夢か/津本陽
運命なんてぶっ飛ばせ
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