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本に挿まれたままの忘れもの

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クローズド・ノートは引っ越し先に忘れられたノートから、物語が始まります。

今の住まいに転居した際、クローゼットの戸棚に忘れられたスクラップブックが1冊ありました。
チケットの様なものが張り付けてある、その横に細かい字でメモが書かれていました。
なんだか人の秘密を覗き込む様な罪悪感があり、そのまま管理している不動産会社に送りました。
クローズ・ノートとは違い、ちょっと年代もので、少し怖かった事もあります。

転勤を含め、引っ越しを繰り返しています。
現在の物件が11月までの契約なので、今から賃貸物件のサイトを時々見ています。

引っ越し前に本の処分が必ず必要となるので、半年単位ぐらいで残す本と処分する本を区別します。
ブックオフに持込、価格がつかなくても引取りをお願いしています。

先日、そのブックオフで引取りをお願いしている本の計算を待っている時の事です。
自分が読もうと思って忘れていた本があり、ラッキーと思い、それを購入して帰りました。

その本をしばらく読んでいて、読書カード(出版社に書籍の感想等を記入して送る葉書です)が挿まれている事に気がつきました。
普段は気がついたのなら捨ててしまうのですが、手にとりました。
それは、既に記入済みの読書カードでした。

お名前と住所が書いてあります。
女性です。
読書カードを記入した日付も書いてありました。
日付から既に2年半を経過しています。
その書籍を購入した理由のところには、その著者が大好きであるからと書かれていました。

そして著作の感想欄にはこう書かれていました。



私は90歳を超えています。
その(本当は書籍名)主人公の人生の終わりに、自分の人生の終わりを重ねました。
入院中でしたが、おもしろくて、上下巻共に二日で読んでしまいました。




この本がどうしてブックオフで売られていたのだろう…と考えていました。
良い事なら、読んでしまった本に未練は無く、売ってしまった事。
悪い事なら、遺品として残しておかず、残されたご家族や親族の方がブックオフに売ってしまった事。

その著者の本が大好きと書かれている事から、私は後者だろうな…と思いました。
この本が、そうして私のところに来たのは縁だなと考えました。
この本を大切にしようと思いました。

挿まれていた読書カードはどうしようかと考えました。
読書カードの無料投函期限は過ぎています。
書籍と一緒に大切に挿んだまま保管しようか…と思いました。
でも、その読書カードに切手を貼って投函する事としました。

届けられなかった思いを、届けようと思います。

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コメント

ケンシロウさん、こんばんは。

あまり本を読まない私としては、読書家のケンシロウさんに憧れてしまいます。

90代のこの方はどのようなお気持ちでこの本をお読みになっていたのでしょう? きっと暖かい気持ちでお読みになり、自分の人生と重ね合わせていたのでしょうね。

人生の中で届かない思いは沢山あります。この方が投函できなかった読書カードと共にこの方の夢も運んでくれた様な気が致します。 

ケンシロウさん、心に響くお話ありがとうございます。

omoromachiさんへ

コメントありがとうございます。

本当にこの葉書を出すかどうか、相当に逡巡しました。

でも、こうして出会ったのも何かの縁ではないのか…と考えて送ることに決めた次第です。

人に何かを伝えると言うことは大変で、思うように理解してもらえないことも多々ありますよね。
特に説明を聞くことができない想いと言うものについては、真意を測りかねる事が多いと思います。

言葉ひとつで信頼は壊れ、言葉ひとつで救われる事もあり、コミュニケーションの難しさを痛感する日々です。

コメントありがとうございました。

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