お腹いっぱいでしあわせ

その日、なんだか私は朝からご機嫌ななめ。
30代前半の頃のこと。
約20年前近くの出来事ですね。

つまらない事だと思います。
戦闘モードだった私は、当時勤務していた福岡支店の福岡支店長と夕食の席で激突しました。
若いねぇ〜。
理由は覚えていません。

激昂して勝手に席を立ち、店を出ました。
腹が立ち、交通機関を利用せず歩き出しました。
店は親不孝通りだったでしょうか。
当時の住まいは福岡市の城南区で、天神にある事務所から徒歩でも6キロ前後だったと思います。

プリプリして国体道路を歩き、赤坂近くまで来た時です。
うなぎのいい匂い。
せいろ蒸しのお店があり、そこに入ったのです。
確かお店の名前は「柳川屋」さん。
ここでもせいろ蒸しが食べれるんだ…と感激したのです。

福岡県柳川市のせいろ蒸しは大好きで、当時東京から友人や両親が来ると、必ず案内していました。
食べた人はだいたいファンになってくれます。

お店に入って、勿論せいろ蒸しを注文。
美味しいうなぎと、たっぷりうなぎのエキスとたれの味が染みたご飯。
先ほどまでのイライラは何処へやら、夢中で食べました。
人心地ついてから、おいしいもの食べてお腹いっぱいだとしあわせだね…なんて勝手に納得しています。

群馬県前橋市の取引先の社長が、取引の窓口担当者である課長さんと共に、夕食にお誘い頂いた事がありました。
この社長さんは、ご自身で料理もされ、作るのも、食べるのも大好きな方です。
その社長さん曰く「娘がね、ここの料理を食べると、おいしくてしあわせになる…っていうんだよ」との事。

それは食べてみたい。
ご一緒させて頂きました。
本当に美味しい。
置いてあるワインもおいしくて、食べ過ぎに飲みすぎでした。
「君は料理の天才だ」と、その社長さんが褒めていました。
異論ありません。

別の機会にお誘いを頂き「何がいい?」と訊かれたので、その「先般のお店がいいです」とリクエストしました。
すると「あれから、あの店とても繁盛したんだよ。それから味が落ちたんだよね。あそこはダメだな」との事。
それでは仕方ありません。
従いまして、主観に基づく判断のためお店の名前は非公開にしますね。

満たされる気持ちになる。
食事は大事ですね。
手頃に食べれる機会と食事が沢山あります。
でも、たまには、ゆっくり時間をかけて、気のおけない人といい食事をするのが、いいですね。

ところで、この時の福岡支店長から電話が久しぶりにありました。
退職されて、10年以上たっています。
今の私のポジションを聞き「あんたは、俺のしごきにも耐え、ガンバっていたものな。俺が育てたようなもんだ」と電話の向こうで大声で笑っています。
「どうだ、今度一緒に飯でも食おう」とお誘い頂きました。
ええ、勿論結構でございます。
ご存知でしたら、東京でせいろ蒸しが食べられるお店の近くの別の店…と言う事でいかがでしょうか。

柳川屋
http://www.yanagawaya.co.jp/tenpo_keyaki.html