傍若無人に合図もなく合流する車に腹が立つ事がある。
徳大寺さんの著書(間違いだらけの車選びシリーズ)で、しばらくスカイラインは厳しい評価だった。
自分が乗り継いでいる頃の事。
行間からは、期待と愛情がある故に厳しい評価となる事を感じていた。
書籍に書かれていた事で、スカイラインのオーナーを満足させる要素とした、忘れられない言葉がある。
スカイラインは当時、インターテックなどの市販車ベースのレースで活躍。
本気を出して走ったなら、スカイラインは速い。
これがスカイラインオーナーを満足させる要素のひとつ。
高速道路や公道で抜かれる事があっても、王者のプライドで寛容になる。
「その気になったら、速いんだよ」と見送る。
なるほど、同じ気持ちになった記憶がある。
大型ミニバンのキャッチコピーに「圧倒するか、圧倒されるか」というのがあった。
車の性格を表している、的確なコピーだなと思う。
私は車も生き方も、羊の皮をかぶった狼の方が好きだ。
今、通勤で日産のノートを使用している。
快適で、加速も取り回しもすこぶるいい。
ターボとは違うが、電気モータが回る、ロータリーエンジンに似た加速はとてもいい。
朝の通勤時は道路が混雑する。
幹線道路には多くの合流有り、橋や信号がある。
例えば、合流で1台譲る。
首都高速の合流などは特にそうだが、それぞれ幹線から順番に合流する。
日本人のいいところ。
合流後に合図をする事もある。
譲った車の長さが4メートルとして、目的地に到着するのは1秒と違いがないだろう。
交通事情は刻々と変わるが、目くじら立てる事ではない。
ところが、近頃傍若無人に合図もなく合流する車に腹が立つ事がある。
歳をとったのか。
スカイラインの王者の風格がないからなのか。
または、これが荒れる老人の始まりなのか。
そんな事ぐらいで腹を立てない、年長者の余裕がない事がある。
ペースの遅い車が走っていても、自分の親父もこんな具合なのかもしれないと思えば腹が立たない。
初心者マークの車が暗い夜道を先頭で走っていれば、慣れないドライバーは怖いだろうなとも考える。
ハンドルにしがみつくように運転しながら、目が血走り必死な形相で、不安なんだろうなと思う。
なのに、合図もなく合流する車に腹が立つ事がある。
自身でわかっている事がある。
流れでスムーズに合流している時、合図は不要だと思っている。
腹が立つのは、合流できるように譲った時に、合図がない事に腹を立てるのだ。
自分が反対の立場なら、必ず合図をするので、ないと愉快じゃない。
でもこれは、自らの気持ちに対し、見返りを求める気持ちがどこかにある事を承知している。
人は誰かにした事は覚えているが、された事は忘れてしまう事が多い。
誰かを傷つけた事も、平気で忘れられるのだ。
同じような事だ。
もっと大人の余裕を持たなければ。
圧倒するか、圧倒されるかなんて走り方は嫌だ。
美しく、でも秘めた能力をたずさえて走る大人の余裕を。





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