アスペルガーの二男は今、厳しい局面にあります。 vol.8「暁」
4月29日金曜日に二男は人事部長と面談を行います。
その席で、ついに5月1日からの自宅待機を通告されます。
残る出社日は4月30日の1日となります。
結果は予測出来た事であり、本人にその覚悟と準備があったと思います。
しかし、本人からすれば遂にダメの烙印を押されるとの意識です。
GW前半は本人とって判決を待つ気持ちであり、他の事で紛らわそうとしながらも、度々心の中に浮かんでいる様です。
家族にいつまで自分は心配と迷惑をかけるのか…。
どうして、自分だけこんなに不出来なんだ…。
身体中をめぐるこの気持ちに、身体が耐え切れなくなり、言葉としてつぶやきます。
自分が情けなくって、少し涙したりします。
4月30日の出社日に、予定通りに翌日からの自宅待機が告げられます。
本人から、期間がどれくらいになるかかと問い合わせました。
返答は少なくとも1か月。
在宅期間中に取り組む業務はあるのかと問い合わせます。
返答は取り組む業務は無し。
人事部長からは、次の派遣先が決まっても、早くても6月1日からとなるとの説明です。
人の気持ちが慮る事が苦手な二男でも、察します。
取り組む業務は無い。
次に向けてのスキルアップ等の話も無い。
本人は両親とも相談し、新しい仕事へ向けて取り組む方向である事も話します。
(それは、前の記事にあります様に、本人が話してしまっています)
但し、4月は与えられた業務に取り組んでいたので、活動は一切出来ていないと説明します。
人事部長からは、「継続して派遣先は探しているので、転職の意思があるなら退職が何時になるのか教えて欲しい。
せっかく派遣先が確保出来てから、ダメではお客様に申し訳ない。」
二男もそれが嘘であり、方便である事がわかっています。
二男も派遣先など、会社が自分のために探していない事をわかっています。
自身に対する評価の自宅待機という結論と、4月入社の新入社員の派遣が優先である事を承知しています。
人事部長からは繰り返し、「両親とよく相談して下さい」と話されます。
本人の能力では、この状況を的確に判断出来ないと考えている節が窺えます。
午前9時30分からの面談は、30分程で終了したとの事。
その後、所属長のところに戻って、当日が期限の業務の件を確認します。
仕上がりを確認していた所属長は、「ここまで出来ていればいい」と言ったそうです。
事情が事情です。
もう、その日はそのまま帰宅しても問題はありません。
しかし、本人は「あと少し、納得のゆくところまでやりたい」と言って、終業時間まで取り組みました。
本人から、終業後にLINEで連絡がありました。
ここまでで良いと言われたけれど、中途半端なところで終わらせるのも気持ち悪いなと思って、満足行く所までやりました。
あと会社から出たらすごい焼き魚の匂いがした。
これに妻は返信で、「今日はシャケを焼いたから、気をつけて帰っておいで」と返信しました。
入社1年目の社員には、スクールカウンセラーではありませんが、業務でメンタル部分を含め相談にのってくれる専門の人がいます。
二男は幾度か利用した事がありました。
現場から撤収の後、何度か時間都合をお願いしましたが、利用は入社1年未満の社員だけと遠ざけられました。
取り組む業務がないから、時々事務作業などを手伝います。
誰もが憐れんだ目で、本人を見ていた事でしょう。
同期入社の社員が、少しの期間同じ場所にいて、まもなく新しい派遣先へ行くのを見送っています。
自らは研修と勉強ばかりです。
取り組み意欲もやる気も本当なら出るわけがない。
でも、どこかに希望を持って、また責任感で、愚直に今自分が出来る、その事に真摯に取り組んだのです。
「そうやって、愚直に頑張っている〇〇(二男)を、必ず誰かが見ている」
そう言って、慰めにもならない言葉で、本人を励ました事もありました。
その夜、リモートで話しました。
今後、一緒に新しい世界へのチャレンジをして行く事を確認しました。
そして、もう一つ。
「約1カ月、辛い環境の中、よく頑張った。近くにいたら、いい子いい子してやりたいよ」と私が話しました。
すると本人は、画面に向けて頭を出しました。
モニターの隣にいた妻が、代わりに頭を幼い子にする様にくしゃくしゃと撫でました。
必ず次の素晴らしい新しい世界をみつけよう。
これから、新しい世界への再チャレンジが始まります。
暁…夜明け前が、いちばん暗くて寒いんだよ。
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