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2023年11月

2023年11月11日 (土)

生き抜いてやれ 昨日と明日の間。

Akatsuki200

生き抜いてやれ 昨日と明日の間

二男のアスペルガー症候群の内、新しい環境への適応能力が低い事があります。
現在の職業はシステムエンジニアで、派遣先への常駐となっています。
仕事が一区切りつくと、新しい職場へと移ります。

今般、現在の職場で、仕事中の鼻歌(これは小学生の頃より)と大きな声のひとり言がクレームとなりました。
本人は自覚がない中で、行っていた模様です。
派遣先の会社、同じフロアで共同作業をする会社からのクレームにより、異動する事となりました。
本人は、青天の霹靂だったと思います。

この失敗を後悔し、本人は消沈の日々です。
私は本人に、仕事で失敗した事がない人がいるなら、連れてこいと慰めにもならない慰めの言葉をかけています。
近頃は後悔から、新しい職場への不安に変わっています。

仕事の形態としては向いていないかもしれない…と思う気持ちが私にもあります。
しかし、幸いにも上司をはじめ、周りの方々には大変恵まれている模様です。
それは、とてもうれしい事で、また安心の材料です。

努力は見えないコップに、水をそそいで行く事と同じ。
努力を継続する時に、よく話される話ですね。

コップの中の水は見えない…。
成果が実感できない努力は、終わりが見えず苦しいです。
あと、どれくらい頑張れば、水が満タンになるのか。
終わりを感じる事が出来る努力なら、あともう少しと力が湧いてきます。

日々の生活に希望が見いだせず、日々の事に追われる。
今日の事に精一杯。
未来など見いだせず、一日はただ終わって行く。
明日がある時にわかるのは、疲れと不安が確実なだけ。

必ず、こんな日に、こんな日々に終わりが来る。

哀しいから 笑うんだろ?
街角の 天使たち
傾いた 陽の光
眩しげに 睨みつけ

きっといつの日か 誰かの腕に抱かれ
傷だらけのその心に 熱いキスの雨が降る
きっといつの日か 愛の嵐に溺れ
戦った数年前を 振り返れると信じて

生き抜いてやれ 昨日と明日の間
お前はLONELY WILD

LONELY★WILD / 布袋寅泰

生き抜いてやれ 昨日と明日の間を。
いつまでも、どこまでも、私はあなたの味方だ。

2023年11月 8日 (水)

でも彼は、そこに間違いなく存在しています。

Akatsuki200

でも彼は、そこに間違いなく存在しています。

ショッピングモールへ出かけても、冷やかしばかりです。
柔軟性を欠いてきているこの頃では、身に着けるものも粗方傾向決まっています。

冒険をする事が、少なくなりました。

書籍やCDも、ネットで購入する事が圧倒的です。

書店は見ていても楽しいのです。
しかし、家には以前に買い込んだ書籍が山積みになっていると思うと、買う決断が鈍ります。

11月にしては、暑すぎます。

風通しの良い飲食用のオープンスペースで、座席を確保し一息。
ぐるりと見まわすと、クレープやたい焼きの他、ラーメンにうどんのチェーン店。
食事も出来ます。
たまたま一緒に来ていた二男が、退屈そうに座る私を見つけて同じテーブルの椅子に座ります。

「暑いな」と私。
「11月とは思えないよ」と二男。
「31アイスクリームあるんだな。しばらく食べてないけど、食べたいな」と私。
「買ってくるよ」と二男。

財布から、二男に2人分の現金を渡します。
どれがいいかとネットのメニューを見せられ、「ロッキーロード」をお願いしました。
手際がいいな。

カップいいのかとか、シングルかダブルかとか、やけに詳しい。
31アイスクリームのポイントカードを持っているとの事。
(そんな、よく食べるんだと)と少し驚きを持って、二男の顔を見る私。

美味しい。

しばらくして、となりのテーブルに私より少し若いと思われるご同輩(以後は彼とします)が座りました。
食パンを1斤持っています。
どこのスーパーにも市販されている、有名メーカーの6枚切り食パンです。

レジ袋が有料になってから、商品をそのまま手に持っている事は不自然ではありません。
コンビニでそれだけ買ったら、袋に入れないで手に持つ事もよくあります。

しかし、その彼は食パンのあの独特のクリップ(バッグ・クロージャー)を外し始めました。
一枚づつ、小さなサイズに切りながら、口に運びます。
よく噛みながら、眼を閉じて食べています。
とても味わいながら…という感じです。

勿論、焼いてもいないし、バターもジャムもつけていません。
何か挟んでいるわけでも、ありません。

少し手を止めて、どこから何か紙片を取り出しました。
どうやら手紙の様です。
何度も何度も読み返したのか紙片は少し、くたびれていました。
しばらく食べるのをやめて、その紙片を見つめています。

紙片を大切にポケットに収め、また袋から食パンを取り出し、食べ始めました。
休日の14時頃。
まだ、ショップでそれぞれ買い求めた遅い昼食を食べている家族連れが、たくさんいます。

4人掛けのテーブルにひとりで座り、眼を閉じて食パンを黙々と食べる。
周辺には子供の声や、誰かが誰かを呼ぶ声、お店の人の声、お店から聴こえてくる音楽。
その彼とは、そぐわない景色や音が満ちています。

私以外の誰も、そこにいる人を気にかけていない。
彼も、周りの事は目にも見えない、音も聞こえない…といった感じです。

食パンを全て食べ終えると、大きくため息をひとつ。
少し目を閉じて、動きが止まっています。
やがて、ゆっくり目を開けると、袋を小さくしばり、立ち上がりました。
椅子とテーブルを整えます。
少し離れたゴミ箱に袋を捨て、別の方角へ歩いて行きました。

ここのどこかで、働いている人だろうか。
節約のために、昼食は食パンのみと決めているのだろうか。
この場所で、ひとりで食べなければならない事情があるのだろうか。

でも彼は、そこに間違いなく存在しています。

2023年11月 7日 (火)

だから、チケットは1枚づつ売れて行く。

Akatsuki200

だから、チケットは1枚づつ売れて行く。

先日、つけっぱなしのテレビから、尾崎豊さんの歌声が聞こえました。
テレビ朝日「関ジャム 完全燃SHOW」での尾崎豊さんの特集でした。

尾崎豊さんが活躍していた頃、その姿はあまり知りませんでした。
北の国から'87初恋の中で、楽曲「 I LOVE YOU」が象徴的に利用されており、印象に残っていました。
亡くなった事が報道された際も、その楽曲すら殆ど知らなかったので、特別な感情はありませんでした。

その後、尾崎豊さんが亡くなった家が、ファンの集うところになっているドキュメンタリー番組を観ました。
それは、尾崎豊さんを慕うファンが集まり、その姿を不憫に思った家主が家を解放した事から始まった物語でした。

そのお宅は今の表現だと聖地となり、多くのファンが訪れます。
その尾崎ハウスでは、ファン同士の交流は勿論、そこにお住まいの家主との交流があるとの内容でした。
ファンの思い、取り巻く環境、尾崎豊さんの存在、その楽曲が様々なところで語られます。

番組の最後、その家のオーナーの方が語ります。
そして画面は暗転し、「15の夜」と白文字で浮かび上がります。
生涯最後のステージとなった「BIRTH TOUR」最終日の「15の夜」ライブ映像が、そこから始まります。

魅了されました。

番組に興味があったと思いますが、録画をしていました。
この尾崎ハウスのオーナーのインタビューから、「15の夜」を歌い終わるところまで、繰り返し観ました。
繰り返し観ました。

翌日は週末で、結婚する前でしたが、妻とデートの日でした。
天気もよく、新宿御苑に行きました。

私は待ち合わせ前に、この「15の夜」のシングル(当時は8cmCD)を購入していました。
芝生の上に座って、その歌詞を繰り返し読み、そこで暗記してしまいました(今では絶対無理だけど…)。
…夢中になって繰り返し歌詞を読んでいるのに、よく愛想をつかされなかったものです。

尾崎豊さんのライブチケットは、一度に複数枚は売れないとの事。
ライブは友達と盛り上がりに行くのではなく、ファンひとりひとりが、尾崎豊さんに会いに行く場所。
だから、チケットは1枚づつ売れて行く。
そんなエピソードに納得していました。

2023年11月 6日 (月)

季節の冬が終わるだけでなく、人生の冬の季節が終わる。

Akatsuki200

季節の冬が終わるだけでなく、人生の冬の季節が終わる。

この週末は妻の実家へ行き、両親の様子を伺いでした。
共に高齢者なので、健康は重要な問題です。

車で行きましたが、その往復のお供はビートルズの赤と青のヒストリカルなベストアルバムです。
折しも、AIを利用したビートルズの最新楽曲が発表され、その事に触発されたと思います。

いずれの楽曲も、番組のメインメロディーだったり、CM曲であったり、今でも多く耳にする機会があります。
やっぱり、世界のスーパーバンドです。

当たり前ですが、どの楽曲も素晴らしい。
その中でも、どれか1曲と言ったら、何になるか?
聴きながら車中、そんな話になりました。

この両アルバムには含まれていませんが、「ゴールデンスランバー(Golden Slumbers)」とか他にも多々あり、そりゃ難しい。
妻は「ハロー・グッドバイ(Hello, Goodbye)」です。
漫才のナイツにも、この楽曲のネタがあるとの事。
流石、お笑い通。

私は「ヒア・カムズ・サン(Here Comes The Sun)」です。
ジョージハリソンの楽曲で、これも今もCM他の様々な場面で聴く事があります。

印象的なアコースティックギターで始まります。
それが、春をまじかに感じる事が出来る、そんな冬の終わりを思わせるのです。
そして、ここに太陽がというか、暖かい日差しがある。
そんな思いを感じるのです。

寒く厳しい冬に別れを告げ、暖かい春の日がやってくる。
季節の冬が終わるだけでなく、人生の冬の季節が終わる。
そんな気持ちになり、そんな事に思いをはせる事が出来る、この1曲です。

決勝に残ったのは「Blackbird(ブラックバード)」です。
アメリカの公民権運動にポールマッカートニーが触発され、ジョンレノンと作り出した楽曲とのエピソードを読んだ事があります。

You were only waiting for this moment to arise
あなたは飛び立つ、この瞬間を待っていた。

Blackbird  / The Beatles

あやしい和訳:ケンシロウ

…1曲だけ。
そりゃ難しい。

2023年11月 1日 (水)

しばらく会っていなかったのに、わかります。

Akatsuki198

しばらく会っていなかったのに、わかります。

少し前の記事で書いた、グリーグのピアノ協奏曲の事です。
記事を書いて、あのFMでエアチェックして、カセットに録音。
繰り返し聴いた、あの演奏は誰が指揮して、誰がピアノを弾いていたのだろうと考えました。

魅了されて、本当に繰り返し聴きました。

きっかけとなったウオークマンⅡのサンプルカセットは、中村紘子さんのピアノでした。
でも、エアチェックしたのは、明らかに違います。

同楽曲は好きなので、複数のCDがあります。
でも、違う…という感じです。

性懲りもなく、また買い求めました。

聴いて、すぐ感じました。
あっ、これだ。

クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

なんだか、昔の知り合いに出会えたようで、うれしくなりました。

前半はシューマンのピアノ協奏曲です。
ウルトラセブンの最終回。
ダンがアンヌに自分がウルトラセブンである事。
この戦いが、最後の戦いになり、お別れである事を告げるシーンで冒頭部分がかかります。

それからは暗転してふたりのシルエットとなり、歌舞伎の回り舞台よろしく回りだします。
最終回だから、子供ながらにわかるけど、ええええ…です。

後半、グリーグのピアノ協奏曲は、そうこれだ…です。
懐かしい。
何度も聴いたよ。
やっぱりいいね。

うれしくなりました。
これで、グリーグのピアノ協奏曲を探す旅は終わりとなりました。

しばらく会っていなかったのに、わかります。

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