大きな違いは、人を褒められる様になった事。
おふくろが入院して手術し、2週間が経過した。
これまで、1週間に1回だったweb面会から、直接の面会が可能となった。
早速、おやじと妹を連れて、面会に行った。
面会時間は15分。
全員で同時での面会は出来ず、順番に行う事となった。
単純計算では、1人5分だが、おやじは看護師さんにそろそろと言われるまで、時間を使った。
結局、15分は軽く超過した。
私はいちばん最後。
なんとか、短い会話ならコミュニケーションが可能な状態だ。
おやじと妹は心配がささらに増した。
呼びかけに可能な範囲が限られ、自身の想像している回復範囲に達していなかったからだ。
予想に反して、けがは回復をし、傷口の回復や腫れが引いている事から、期待が高まってしまう。
私はふたりに話した。
歩みは遅くとも、着実な回復がある。
私たちが焦る事が、いちばんいけない。
これは言葉なしに、本人に伝わる。
出来る事を期待するより、出来た事を喜んでいくべきだ。
当初はICUにいたのが、一般病棟に移った。
話しかけても、呼びかけても殆ど反応を示さなかったのが、反応を示した。
会話が出来た。
四肢が動かせる。
これは、私が子供から教わった事だ。
アスペルガーの二男は、他の子とは様々な部分で違う。
他の子が出来る事が、二男には出来ない事が多い。
ところが、他の子が到底できない事を、自然にやってしまう事もある。
仕事でも私は、自分が出来る事が、なぜ仲間は出来ないんだ…と思う事があった。
私は昭和の営業スタイルの最後尾だ。
しかし、二男が我が家に生まれてきてくれて、一緒に育ってゆく過程で、私はこの物差しが誤りである事がよくわかった。
すると、視点が変わり、出来た事に目が行くようになる。
求める結果が当初の目標通りでなくても、だれだけ目標に近づけたが、そこで何を得たのかが大切になる。
大きな違いは、人を褒められる様になった事だ。
出来ないところを探すことは簡単。
出来たことろを探し、認めて褒めて、次へのジャンプアップにつなげる事の方が難しい。
本人の中でこれが昇華されると、求める結果が当初の目標通りでなくても、次は当初の目標を超えたところまで到達してしまう。
これが続くと、波に乗り始める。
これは他の人へ伝播し、勢いに乗るチームが出来上がる。
いつも2㎞先に到達する心掛けと取り組みは、1㎞への到達は容易であり、通過点としてしまう。
おふくろに「夜、眠れるかい?」と聞くと、「眠れている」と返答。
まだ、痛み止めを利用しているので、時々意識が遠のくようだ。
「養生に専念して」と声を掛ける。
面会場所からベットで病室に戻る時、見送る私におふくろは、大きく手を振った。
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