二男が声をあげて泣いた日の事。
二男が通学する大学の後期授業料を払い込み、教育費はこれが最後となりました。
長男が中学入学と同時に学習塾に入り、そこからスタートした教育費はまとまった金額になったと思います。
厳しい中、よく調整をしてくれた妻に感謝です。
二男が大学に入学した時の事。
中学まで通っていた通級の、お世話になった先生に本人が報告へ行きました。
するとしばらくして、通級の先生から妻に依頼がありました。
それは、二男の大学入学までの出来事を、他の保護者の皆様の前で、話して欲しいとの内容でした。
アスペルガー症候群の二男が、大学に入学をした。
それは優良事例として、同じ境遇の保護者には役に立つとの事でした。
優良事例…。
ゴールなど見据えて二男と成長したのではなく、その時その時で必死だったのです。
正解なんてありません。
妻は講演を引き受けました。
…というか、大変お世話になったので、お断りできません。
原稿を準備する妻から記憶にある事を、いくつかあげて欲しいと言われました。
アスペルガー症候群は、例えば印象に残ったその言葉で、時間軸が失われる事があります。
小学3年生の頃だったと思います。
住まいの近くに住んでいた同級生は、登校拒否の状態でした。
そのきっかけはわからないのですが、二男はその子と仲良く遊ぶようになりました。
二男は毎日通学していました。
やがて、その子は通学も可能となり、二男の事はすっかり忘れてしまいました。
二男は近づいて行き、「次、今度遊ぼう」とあしらわれたのだと思います。
ずいぶん前に言われたその言葉は、時間軸が理解できないと、いつでも今になります。
しかし、それをそういう受け取り方が出来ない二男は、ある日、その子が他の子と遊ぶところを追いかけて行ったのです。
隠れる様な器用な事は出来ませんが、隠れているつもりで、いつ声がかかるかと期待しながら追いかけて。
声がかかる事はありません。
その日は、すっかり日も暮れて、妻と約束した時間より帰宅が遅くなりました。
妻はなぜ遅くなったのか、心配していた、どこにいたのと矢継ぎ早に問い詰めます。
二男は大声を上げて泣き出しました。
それは妻に問い詰められた事も勿論でしょう。
でも、本当は仲がいいと思っていた、友達と思っていたその子に裏切られたショックでした。
そして、その事に気づいた、気づいたしまった事でした。
気づきながら、家に帰るまで泣かない…と我慢していたのでしょう。
私は今、22人の仲間と仕事をしています。
私を含め、誰にも得手不得手があり、また長所と短所があります。
二男と生活し、共に成長して来る事で大きな学びがありました。
それは、出来ない事を否定するのではなく、出来る事を喜ぶ事でした。
そして、出来る事を発展させ、苦手を克服して行く事。
そうして、二男と成長してきた事が、多くの仲間と仕事をする際に人を短絡的に見て、自分勝手に判断しないという貴重な思いを抱かせてくれています。
この事がわからなければ、私は今よりも更に、とてつもなくいけ好かない野郎だったと思います。
講演は水を打ったように会場が静かで、とても緊張していたと話していました。
妻が話す事を、参加された方々が熱心にメモを取っていたそうです。
妻に渡したメモの中で、私(父親)からのメッセージとして読まれたものがあります。
子供は生まれてくる時に、このお父さんとお母さんのところなら、しあわせになれると思って生まれてきます。
きっと選んで生まれてくる。
ここがいいと選んで来てくれる。
そんな子供を大切にしたい。
なぜなら、お父さんとお母さんがしあわせになるのだから。
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