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2020年11月15日 (日)

「アヴェ・ヴェルム・コルプス」に、そんな思いが重なります。

【ご注意】映画「この世界の片隅に」小説「みかづき」のストーリーに関する記載があります。

映画「この世界の片隅に」を観ながら、井伏鱒二さんの小説「黒い雨」と思いが重なりました。
明日も今日と同じ日が来ると思っていたのに、突然絶たれた日常。
市井の人々の日々の生活が、予告もなく断絶させられる。
それが、戦争の悲惨さや理不尽さを際立たせると感じました。

映画の終盤。
原爆攻撃で親を失った幼い女の子が、主人公のすずさんから離れなくなります。
すずさんに寄り添う、その少女の姿。
やがて、すずさんの家へと迎い入れられて行きます。

そのシーンで、私はたまわらなくなりました。
母親を失い、厳しい環境の中で幼い少女ひとりでは、生きてゆくことままならない。
そんな幼い子がすずさんと出会い、安心して生きて行ける場所へたどり着ける。
亡くなったお母さんの導きかもしれません。

森絵都さんの小説「みかづき」は夢中になって読みました。
戦後教育の趨勢の集大成ですが、その多くの部分でその歴史の中にいた私にはわかりやすかったです。
大河ドラマなのに、登場する人物は皆、それを飽きさせずに丁寧な描写から、きめ細かな感情の動きが表現されています。
それが伝わります。

その物語の中で、勉強の苦手な女の子が出てきます。
クラスでも、彼女はできない事が当たり前で、授業中も相手にされない。

そんな彼女が進歩し、勉強ができるようになって喜びます。
それは自分の居場所を確認し、自分の能力を確認し、生きている自分を確認した瞬間だと思います。
彼女を応援してくれていた人と涙ながらに喜びます。

私もうれしくて、仕方ありませんでした。

自分の居場所ができる。
自分を信じる事ができる。
自分はひとりじゃない。

そんな事が感じられる。
その瞬間がどれだけ、うれしい事でしょう。

モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
およそ3分半のこの合唱曲に、そんな思いが重なります。

「アヴェ・ヴェルム・コルプス」

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