この大地の下にも、歓びの種がある
昨日は取引先が上京し、都内でご接待との事になりました。
何処がいいかと伺ったところ、ニューハーフとお話がしたいとのご用命で、新宿は歌舞伎町へと参りました。
昨日も都内の気温は午後7時で31℃。
アスファルトからの照りかえしもあり、体感温度は35℃前後といったところでしょうか。
頭から溶けるように汗が流れてきます。
取引先の方もグッタリです。
しかし、歌舞伎町はお祭りみたいです。
学生時代にこの辺をウロウロしていたのは、もう20年も前。
その頃より看板の電飾も更に派手になり、景気とは裏腹にこの街は経済特区なのかと思います。
歌舞伎町のさくら通りから入って、記憶を頼りに進みましたが、あまりに周辺の風景が変化をしており、迷いました。
お客様をご案内しているのに、恥ずかしい…。
お店に到着し、ちょっと異様な風景にビックリしました。
サラリーマンと思しき、若手からおじさんに、女性で営業事務担当なんて感じの一団が一角を占めています。
「相変わらず繁盛してますね」
視線の方向を感じてか「会社のレクリエーションの一環で、皆で仲良くなるために来てるんですよ」との事。
なるほど、明らかに風景に溶け込めない感じの原因がわかりました。
おっと、私が馴染んでいるというわけではありませんので、あしからず。
お相手をしてくれたのは、父親が日本人で、母親がフィリピン出身のハーフのハーフ?な女性?という方(なんだか古い言い方です)。
きれいな方で、どう見ても女性にしか見えません。
声もしっかり女性の声です。
その日はお客様が男性と女性に私。
女性1名と男性2名の3人でした。
ショーが終わり、同じ方がテーブルに戻ってきてくれました。
お連れした女性のお客様が訊きます。
「何時頃から目覚めたの?」
「3歳の頃から。当時、アメリカにいたのだけれど、バレイに通っていたの。美しいという事に興味があったの」
「本当にきれいね。その辺の並みの女性より、よっぽど美しい」
「ありがとう。自分が美しいと思って頂ける事はとても嬉しい事。でも、私は誰かがきれいになってゆく…それもとても嬉しい事なの」
ここから、彼女の表情が一変しました。
これまで以上に、とても活き活きしてきたのです。
「私、美容師になりたかったの。んーと、誰かが美しくなってゆく。その事も嬉しいし、美しくなってゆくのを喜んでくれる本人が、人がいる。それがとても嬉しいの」
なんだか、私はその話を聞いているだけで、嬉しくてしあわせな気分になりました。
誰かの歓びのために、自分に出来る事がある。
それが、また自分を歓ばせる事でもある。
陽だまりのにおい 雨上がりの空
与えられたらのなら 受けとめよう
しかられてみよう 愛されてみよう
心の底から 信じてみよう少し照れて 笑う君が見えるよ
日は昇り沈む 燃えて茜色
命の音色に 耳を澄まして実らせてみよう この歓びの種を
愛という水を 注ぎましょう陽だまりのにおい 雨上がりの空
与えられたらのなら 受けとめよう見逃してしまう 歓びの種を
暖かい大地で 育てましょう歓びの種 / yuki
店を出てお客様を送り、歌舞伎町の通りを新宿駅と歩き出しました。
歌舞伎町の夜は、まだこれからといった感じです。
煌びやかなネオンの中に、多くの人の思いが交錯します。
むせかえる様な空気の中、空を見上げると暑さに歪む月。
でも、この大地の下にも、歓びの種の芽が出るのを待っている人がいます。
信じて待っている人がいます。
きっといつの日か、必ず芽が出ます。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント