恋愛

だけど 愛すべきあの人に 結局何かも癒されている

取引先のラウンジ(応接者が待つ素敵なラウンジがある羨ましい取引先なんですよ)で、FMか有線放送なのかわかりませんが、流れていた曲に心奪われてしまいました。
コーヒーを運んできてくれた女性とは、顔見知りである事もあり「今流れているこの曲知ってる?」と聞いたのです。
彼女は年齢を聞いた事はありませんが、まちがいなく20代。
「えっ、ケンシロウさん(本当は苗字です)知らないんですか?浜崎あゆみの"M"ですよ」
「浜崎あゆみ…知ってるよcoldsweats01、あゆだろ、あゆ」なんてお答え。
曲名をメモしながら、勿論エイベックスの看板って事ぐらいは知っているし、おじさんの記憶はTBSドラマ「未成年」に出演していた可愛い女の子…程度の印象だったのです。

早速、その場所での仕事を終えると、近くにあるショップに立ち寄り「M」の入っているアルバム「BALLADS」を買いました。
レンタカーでの移動だったので、早速聞きました。
移動しながら、全曲をまず聞きました。
やっぱりどこかで耳にして、メロディーだけ記憶にある曲もいくつかありました。
それからは「M」だけ1曲をリピート。

これ名曲。
特に途中パイプオルガンと同じ音(たぶん本物ではないと思うのだけど…)を使ってのアレンジはドラマチック。
また、曲の構成も工夫されていて素晴らしい。
繰り返し何度聞いてもいい。

楽曲は本人が作っているのですね。
彼女が根強い人気を保っているのが、わかる気がします。

MARIA 愛すべき人がいて
時に 強い孤独を感じ
だけど 愛すべきあの人に
結局何もかも満たされる

MARIA 愛すべき人がいて
時に 深く深いキズを負い
だけど 愛すべきあの人に
結局何かも癒されている

M / 浜崎あゆみ

特にこの歌詞は、愛するが故の苦しみ。
とても的確な表現と思いました。
吉本ばななさんの「うたかた」の冒頭にこんな表現があります。

たとえるならそれは、海の底だ。
白い砂地の潮の流れに揺られて、すわったまま私は澄んだ水に透けるはるかな空の青に見とれている。
そこではなにもかもが、悲しいくらい、等しい。
目を閉じて走っても、全く違う所を目指したつもりでも、気持ちはいつの間にかくり返しそこへたどり着く。
そこはいつもとても静かで、いつも彼の面影に満ちているので、私は目を覚ますことなく、ずっと、そこでそのまま眠っていたくなる。

うたかた / 吉本ばなな

人を好きになると、喜びも勿論なのだけれど、気持ちがどうどうめぐりをくり返し、疑心暗鬼になったり、勝手に苦しんだりします。
でも、その度に新しい発見があったりして、またくり返し恋をする。
さすが、吉本ばななさんの表現はピッタリです。

誰かを好きになった、その時の自分の気持ちだけは忘れてはいけませんよね。
今週末は「BALLAD」をたっぷりと。
でもこれ、ずいぶん前に発売されたアルバムなんですね。
秋の夜長にぴったりな一品です。

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笑顔は誰よりも輝き、 くもり空まで晴れになる

祝福される水嶋ヒロと絢香のカップル(敬称略)。
美男美女である事は勿論ですが、祝福し、とても応援したくなる素敵なカップルですね。

帰国子女で留学中、そして帰国してからもずいぶん苦労を経験した水嶋ヒロ。
留学につきまとう異文化を理解し受け入れいる事の大変さ。
留学先では、自分だけが違っている、違っていると見られる事。
孤独。
今度は帰国すると反対の事がおき、馴染んだ留学先の文化の尺度では異分子扱いをされ、受け入れてもらったり、理解してもらうのに時間が必要となります。
これもまたずいぶん辛い一人ぼっちを感じます。

デビュー曲の「三日月」を聞いた時の事。
歌詞の一語一語をせつせつと歌う絢香の歌い方と歌詞の内容。
これが18歳前後の作品だと知って、驚いた覚えがあります。

ここから先は想像の範囲です。
互いの所属事務所には内緒で結婚する事を決めたとの事。
ここには、最悪解雇されても、絢香との人生が一番だという水嶋ヒロの覚悟があったかもしれません。

そして絢香の病気の事。
これはきっと最初から水嶋ヒロも知っていたのではなく、好きになった女性がたまたまその病気であったという事だと思います。
でも好きになった女性が、病気で苦しんでいるなら、その病気をなんとかしたい、一緒に闘いと考えたと強く思います。

絢香はずいぶんの勇気を持って病気の事を告白したでしょう。
直視したくない自分の病気を孤独に闘いながら、でもそれをわかるのではなく、一緒に闘うと言ってくれる心強さ。
自分の病気の事は他人は同情はしてはくれますが、理解はなかなか得られないものです。
病気と闘うのはとても孤独な事。
しかも、いつ完治するかわからない病気はなお更です。
それを一緒に闘うと言ってくれた事が、どんなに勇気と闘病への力が湧いてくる事であるか。
受けとめて、認めてくれる喜び。
絢香が見ないふりをしてきた自分の病気を、直視する事が出来るようになった…なんだかわかる気がしませんか。

互いに魅かれあいながら、互いを必要としている。

水嶋ヒロが一緒に闘うと言った事を、絢香はなぜ単なる同情と感じないのか。
これは水嶋ヒロの言葉に真実味があるからだと思います。
それは孤独を知り、哀しみを知る人が語る言葉だからなのだと思います。

あなたの笑顔は 誰よりも輝き
くもり空まで 晴れにしてしまう
何度も高い壁を 乗り越えたから
何も怖くない ひとりじゃないよ
みんな空の下

みんな空の下 / 絢香

末永くお幸せに。

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あなたが生まれなければ、この世に生まれなかったものがある

身動きのとれない通勤電車の中で、広告に目が留まりました。

「あなたが生まれなければ、この世に生まれなかったものがある」
アミューズメントメディア総合学院

とってもいいコピーというか、言葉だなぁと思ったのです。
ありふれて、使い古されている様な言葉であるはずなのに、とても新鮮だったのです。

例えば、楽曲を生み出せる人。
その楽曲を聴いて、癒されたり、生きる勇気が甦ったり。
自分が作り出した、この世に生み出した楽曲が誰かの生命力を呼び覚ます。
素晴らしいと思うのです。

例えばまた、歌を歌える人。
その歌声と歌と共に、心に思い出が残り、その歌声がいつまでも生き続ける。
誰かにとっては過去の事でも、その人にとっては今であり永遠である事。
歌を歌える人がうらやましい。

およそ200年近く前のベートーヴェンの楽曲に感動する。
400年近く前のシェイクスピアの作品に感動する。
550年近く前のダヴィンチの絵画に感動する。
人間が500年前から進歩していない…と言えばあまりに短絡的な話。

でも、何より素晴らしいのは人と人との出逢いだと思うのです。
その出逢いの中で語られる「あなたが生まれなければ、この世に生まれなかったものがある」という言葉。
リチャード・ギアとウィノナ・ライダーの映画「Autumn in New York」
リチャード・ギアの様にかっこよくて、色気のあるおっさんに…この話は今日はやめておきましょうgawk

この映画の中にこんな台詞があります。
リ・「君はもうプレゼントをくれた」
ウ・「そうだったわ…気に入った? 何だったかしら?」
リ・「悩み 心配 苦痛 幸せ 愛 生きる歓び」
ウ・「思い出したわ」
リ・「何が欲しい?」
ウ・「こういう時間」

恋愛映画ですから、台詞はベタベタとしても、こんな気持ちになれる事が素晴らしい事。
「あなたが生まれなければ、この世に生まれなかったものがある」
あなとと出逢ったから、こんな満たされた気持ちになる…と言い換えてもいいのでしょうか。

映画は評価が大きく分かれるようですが、私はニューヨークの風景や音楽の使い方など、この映画は見てよかったと思った映画です。
2000年公開の映画ですから、リチャード・ギアもウィノナ・ライダー今とは少し様子が違います。
この映画のウィノナ・ライダーは表情がとても豊かで可愛いhappy02

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暗闇に映る儚い美しさよ

オフコース楽曲「YES-YES-YES」が発売されたのが、15歳の頃。
曲中で雑踏の音が入り、誰かが走り去る音と共に曲に戻ります。
この時前後の歌詞は…

でも大切なことは ふたいでいること YES-YES-YES… (この間に雑踏の音と誰かが走り去る音が入ります) …もっと大きな声で きこえない きこえないWOO…

YES-YES-YES / オフコース

この雑踏の中で聞こえる声が、何かを話している。
それが、なんと言っているのか。
ずいぶん長い間、この事が話題になりました。

私には「ねぇ…私のこと好き」とい聞いている様に聞こえるのです。
これだと前後の歌詞となんだかマッチする気もするのです。
でも、女性にそう訊かせるのは、少しせつない気がします。

本日現在まで、記録は残念ながらまだ更新されていない(自分史の中で)。
中学時代にバレンタインデーで頂いたチョコレート。
当日は近所の公園に呼び出されては、有難く頂戴致しておりました。
おそらく一生分、濃縮してその時期に頂戴したのだと、今特に特に強く思います。

人間は勝手なもので、満たされている時の記憶は曖昧です。
しかし、比較的鮮明に記憶に残っている事があります。

頂いた瓶に詰めてあるタグに名前が書いてあったのです。
ちょうど私も含むおじさん達がクラブ活動をする際に、ボトルをキープするとかけてあるようなタグでした。
そのタグは一度書いて消した後があり、最初に書いてある名前は私の名前ではありませんでした。
ちょっと苦笑いをして、たぶんチョコレートだけはおいしく頂いたと思います。

話は少し時間が経過しています。
おそらく日直だったと思います。
その彼女とふたりで放課後に話をしたのです。

彼女はいつも自分の恋がうまくゆかないと言っていました。
線香花火の様にふぅ~と赤く膨らんだ火の玉が、少し美しい火花を散らすとすぐに落ちてしまう…。
火花を散らす前に、落ちてしまう事さえも…。

きみの願いは さっきからひとつ
きみは線香花火に 息をこらして
虫の音に消えそうな 小さな声で
いつか帰るのと きいた

みつめているのは 僕の顔ばかり
きみは線香花火の 煙にむせたと
ことりと咳して 涙をぬぐって
送り火のあとは 静かねって

くすり指から するりと逃げる
きみの線香花火を 持つ手が震える

線香花火 / さだまさし

さだまさしさんの線香花火はフトした事から話題になった曲でした。
彼女が誰が好きなのか…わかっていたんです。
私の前にタグに書いてあった名前は、私の友人でした。

線香花火が消えてしまうのが心配なら…。
線香花火の火が落ちてしまうの心配なら…。
いっそ線香花火ごと手に握ってしまえばいい。
美しい火花が散る前に、強く握ってしまえばいい。
その頃の私にはそんな事を話せる強さも、やさしさもなかったのです。

花火セットにある線香花火はいつも出番が一番最後です。
子供はやっぱり勢いがあったり、派手な色の花火が好きです。
そんな花火をしている時は親も遠巻きに見ています。
ところが、最後の線香花火になると皆がいつしか線香花火の周りに集まり、暗闇に映るはかない美しさに黙します。

この時の弱さは、オフコースが解散する事となり、YES-YES-YESがまたリバイバルで売れている頃に自分に身に降りかかってきました。
いいえ、自分の弱さがどれほどに人を傷つけるのか。
本当にやさしいとはどういう事なのか。
それはまた別の機会にしたいと思います。




コネタマ参加中: 線香花火のような、はかなく切ない思い出募集

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人が人に出来る事は、そういう事だったんじゃと思う

「君を守るなんて言葉が一番信用できない」なんて、フリートーク形式の番組で女性のパネラーが話していました。
「物理的な事も含めて、そんなのは無理だろう」と言っていました。
無理だと思います。
24時間かたときも離れずに、見守る事は出来ないし、つきまとわれる方もたまりません。
その女性パネラーの言葉が真意かどうかは前後の脈略なく、フト見た番組でしたのでわかりません。
本当は意思とは反対の事を話して、その論理を打ち砕く強い論理が必要だったのかもしれません。

例えば子供の事を親は守ると言います。
これをどう考えるかはいろいろな立場であると思いますが、私は子供が一人前になる。
そんな道を自分で拓いてゆける力を与えてやる事。
これもひとつだと考えるのです。

大切な人の存在が心を守る事があると思いませんか。
もう死んでしまおう…と心が絶望で満たされる時。
フト大切な人の笑顔を思い起こして、思いとどまる事がある。
人の道に反することに及ぼうとした時、大切な人の哀しい顔が心に浮かび、その事を思いとどまる時。
怖いとき…大切な人に助けを求める。
辛いとき…大切な人に語りかける。
折れそうになった心に、絶望の淵を歩いていた心に小さな灯りがともる。
心が死に、心が折れそうな時にその手前で留まる気持ち。

高倉健さんと田中裕子さんの主演で「ほたる」という映画があります。
井川比佐志さんや大人の俳優で作られた、とっても味わい深い映画です。
私の大好きな映画のひとつです。

この映画で印象的な台詞があります。

一緒に飲んで、一緒に泣いてやったのに…。
人が人に出来る事は、そういう事だったんじゃと思う。
今になって気がついた。

これもきっと「あなたを守る」という言葉につながると思うのです。

ふたりで支え合って、寿命をまっとうする事だけはしようって約束したでしょ。
寿命に逆らわんでいいの…。
ふたりで、ひとつの命じゃろうが…ちがうんか。

この台詞のシーンに「あなたを守る」という気持ちが溢れ出します。

誰にも、どうにも、できん事があるんよ。
私も何度も死のうと思った。
どこかに吸い込まれそうで…それを支えてくれたのがおいさんやった。

この台詞が映画のどこでかは、ぜひ作品をご覧頂く楽しみとして欲しいのです。
TUTAYAが選ぶ泣ける映画100円レンタルに、どうしてこの作品がふくまれないのでしょうかangry

さて、田中裕子さんですが、TBSドラマの「想い出づくり」に出演していたのを見て、すっかりファンになってしまいました。
当時、私は中学生。
本屋さんに「田中裕子さんの写真集はありませんか?」と問い合わせ、「た、田中裕子さんですか?」と店員に訝しがられた覚えがあります。
坂口良子さんのファンだった仲の良かった友達と、それぞれファンレターを書きました
その中には…私の友人に坂口良子さんのファンがいます。今度、田中裕子さんと坂口良子さんとその友達と私で一緒にお食事しましょう…と大真面目に書いて送りました。
友人は坂口良子さん宛てに同じ内容で。
返事はいずれにもありませんでした。

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しあわせのランプ(Chapter13) ラブホテルのルームキー

「忘却は神様が人間に与えてくれた最大の贈り物」と誰かが言ってたっけ…。
下を向いて歩いていた高校時代とは正反対に、大学生になってから私は人が変わっていた。
時代はバブルへ向かって一直線の頃。
毎日がお祭りの様なバカ騒ぎ。
何も失っていないのに、何かに追われ、何かを取り返そうと、何かに必死だったのだ。
当時はそんな事を考える事もなく、気がつけば楽しい一日の始まりだったのだ。

合コン。
当時は合同コンパで、会話の時はコンパという事が多かった。
その時も、いつもの延長線上できっとワクワクしながら出かけていったのだ。
同じ小田急線沿いの仲間3人と女の子も3人の組み合わせだった。

前後の事はよく覚えていない。
ひとりがカバンの中から出したのは鍵だった。
そのキーホルダーはラブホテルのルームキーのキーホルダーだった。
フロントでお金を入れて、部屋のタイプを選ぶと「ガタン」と落ちてくる鍵についているキーホルダー。
青色で3桁の部屋番号が刻印されていた。

「ずいぶんと刺激的なキーホルダーだね」
「でしょ」

目に留めて、その事に触れたのは、その会話だけだった。
後はいつもの様にどんな車に乗ってるかとか、どこそこのカフェバーがいいとか、そんな話ばかりだったと思う。
キーはテーブルの上に置いたままだった。

着ていたジャケットの袖でグラスをひっかけ、テーブルの飲み物をこぼしてしまった。
慌ててテーブルを拭いた。
その時、彼女はぬれてしまったキーを拭いていた。

「ちょっと聞いてもいい。とても大切そうにしているけれど、何か特別な想い出でもあるの?」
「特にないわよ」
「そう、見る人がみればどこのキーホルダーかわかるから、刺激が強いよね」
「それがいいのよ…私に興味を持ってもらえるから」
「そりゃ、そうだね…どうして持っているのか聞いてみたくなるものね」

この後の会話はあまり記憶にない。
しかし、前後の脈略は本当に覚えていないのだが、彼女はこう言った。

「そんな事でもいいのよ。誰かにもとめてもらえるって事がいいのよ」

お祭り騒ぎの様な毎日の中で、何も失っていないのに、何かに追われ、何かを取り返そうと、何かに必死だったのだ。
その何かは忘れ物だった。
追いかけても、取り返そうとしても、先には無い物だった。

夕方の校庭を教室の窓から見ながら、はじめて孤独を感じた時。
他人で初めて大切だと言ってくれた人に出逢えて喜び。
好きになってもらえる事の尊さ。
大切な人を失った日。
暑い夏の日に、蝉の声をききながら空を見上げて自分の境遇を呪った日。
自分で自分を壊してしまいたい…そんな破滅願望を抱いていた日々。
哀しみの理由ばかり考えていた日々。
自分が本当は生きたいんだとわかった日。
許すという事を知った日…。

「そんな事でもいいのよ。誰かにもとめてもらえるって事がいいのよ」

この時以外に彼女に逢った事はない。
誰もひとりでは生きられない。

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人が人を恋いうるとき 人は誰しもさびしんぼうになる

「人が人を恋いうるとき 人は誰しもさびしんぼうになる」

「さびしんぼう」
この映画全般に流れるショパンの別れの曲のメロディー。
ピアノは勿論の事、同じメロディーのストリングスも素晴らしい。

これに尾道のどこか懐かしい風景と映画の中の台詞ひとつひとつが心の琴線に触れ、とても印象に残る映画でした。
人を恋する事が出来る。
その事が映画を見た時分には既に羨ましい事でした。
映画の題名からどこか甘い、お子様映画の様に一見とられますが、上質の大人だからこそ感じられる素晴らしい映画です。

主人公の無口な父親が語る一言。

人を好きになれ。
その人の全部を好きになれ。
嬉しい事も哀しい事も全部好きになれ。

この言葉がとても印象に残りました。
しかし、映画を見た時分は高校3年生。
まだ、その言葉の意味もよく分からなかったのです。

この台詞の後、瀬戸内海に沈む夕陽を背景にゆっくりと進む船の映像と別れの曲のストリングスバージョンが重なります。
映画はそこからクライマックスに向けて盛り上がってゆきます。

大切な女性が過去からの哀しみを話してくれた時、そんな哀しみは私で、私が、終わりにすると心の底から力が湧いてくる時。
過去へ行って、過去を取り消す事はできないけれど、受け入れる事は出来る。
そんな過去があるのは…ではなく、その苦しみを完全に消せなくても、軽減する事が出来たらと思う時。
その人の成功を共に喜ぶ事が出来る時。

現在の自分はいろいろな過去の出来事が積み重ねられて出来たもの。
それは他人も同じ。
まったく別々の道をたどって来た人間同士がどこかでその人生が交差する時、お互いを認め合い、愛せるようになる事。

あなたに出逢えて、いつも不安に苛まされていた毎日が変わった。
生きる勇気や気力が湧いた。
共に受け入れ許しあう時に、進む事が出来ると思える力。
自分が、自分の存在が誰かの役に立てたと思えるその時、本当は言われた自分が一番、生きる気力と勇気を得ていると思うのです。
自分の存在が認められたその時に。

作られたものの上に乗るのは簡単だし、楽だけれでも脆い気がします。
しかし、互いに作ってゆくその道は容易には壊れません。

私はこの映画が父親のこの言葉に収斂されてゆくのではと思っています。

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うれしい!たのしい!大好き!

東京は一昨日夜は嵐で、明けて昨日はすっかり春でした。
春ですねぇ~。
昨日はバレンタインデー。
ささやき合いながら街行くカップルの誰もが、今日はいつもより幸せそうに見えます。

恋をするって、素晴らしい。
空が美しくなり…
花が儚く、でも美しくなり…
自然と笑顔も多くなり…
人にやさしくなり…
ついでに、道路の電柱までが何か幸せに包まれている様な気持ちになって…。

DREAMS COME TRUEの「うれしい!たのしい!大好き!(アルバムTHE SOULのEVERLASTING’ヴァージョン)」は恋する喜びを叫んでいる様な曲で大好きです。
吉田美和さんの多重コーラスは嬉しい気持ちが空へはじけてゆくようで、これに音が上がってゆくキーボードが重なってメロディーがスタートする。
とっても幸せな気分になる曲です。

友達にはうまく言えないこのパワーの源を
”恋をしている”ただそれだけじゃ
済まされないことのような気がしてる

うれしい!たのしい!大好き!
何でもできる強いパワーがどんどん湧いてくるよ

うれしい!たのしい!大好き!/DREAMS COME TRUE

人を好きになった、人を愛した…その時の自分の気持ちは忘れてはいけないですよね。
大切な人の喜びを、自分の喜びとして共に喜ぶ事。
大切な人の哀しみを、分かち合い和らげる事が出来る事。

誰かを愛している。
誰かを愛した。
その時の自分の気持ちだけは、忘れてはいけないですよね。

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あなたが、私をみつけられるように、世界で一番不幸になっているから

大学1年生の一般教養「倫理学」で聞いた話です。
一般教養の授業は退屈な授業も多くありましたが、初めて学問に触れられる部分は楽しんでいました。
と言うよりも、退屈な授業は出席しない事が許される…許してしまうのですが、哲学や心理学とこの倫理学などは楽しみな分野でした。

そう、そこでのお話。
プラトンは「人間は球・丸であった」と話しました。
人はこの世に生れ落ちる前は一つの球で、誕生する時に2つに分かれる。
故に地上で誕生してからは、もとの自分の片割れ、自分の半分を求めて、人間は、男女の間は彷徨するとの話。
男女と書きましたが、同性同士もあるとプラトンは話したとの事。
なんとなく、現実の世界で起きている事もよく説明できる気がします。

例えば…
初めて逢ったのに、とても懐かしい気持ちになる…。
理由もなく、一緒にいるだけで気持ちが安らぐ…。
同じ事に、同じように共感するとか…。

さすが、プラトニックラブの語源たる思想。
私は単純に素敵な思想だと思ったのです。

「青い鳥」の「あなたが、私をみつけられるように、世界で一番不幸になっているから」と現世での再会を約束する、そんな気持ちと同じでしょうか。
プリンセス・プリンセス(ああ、このバンド名を書いたり、聞いたりすると80年代と思う今日この頃…)のアルバムで「Lovers」というタイトルがあります。
これはメンバーが「必ず売れる」と豪語したと言うだけあって、看板に偽りなしのとてもいい作品です。
特に私は1曲目のムーンライトストーリーが好きです。

きっと昔も2人は恋に落ち 何かに引き裂かれて
長い年月越えて 再び出会えてここにいる
そんな気がするの 今夜

PRINCESS PRINCESS  ムーンライトストーリー

曲の終盤でのキーボードの入り方なんて秀逸で、初めて聞いた時にはググッと引き込まれました。
これも、プラトンや青い鳥ではないですけれど、求めていた人に巡り会う、その喜びであると思います。
まだ、そんなに遅い時間でもないのですが、なんだかロマンティックモードですね。
お昼過ぎから少し暖かい、東京の気温がそんな気分にさせるのでしょうか。
でも、私の場合は春の訪れは、花粉と共にやって来ます。

期待も長くしていると疲れてくる。
そんな素敵な出会いや、出来事が自分自身にもあるだろうかと思う。
自分には…とか、自分なんて…思う時がある。
ずっとそれが、そんな気持ちが続く事がある。

自暴自棄になるそんな瞬間も、自分が現れるのを膝を抱えて、待っている人がいる。
今まで乗り越えてきた哀しみが、その人の哀しみを癒す事ができるかもしれない。
そのために、今の辛い事があるのかもしれない。
決して自ら死を選んではいけないと思う。
死ぬほうが、死んでいる人がうらやましいと思う日があっても!

知らなかったのですが、重松清さんが原作の「その日のまえに」が映画化されていたんですね。
私はこの本、重松清さんが好きな作家なので、発売時に無条件に購入して読んだのです。
ネタばれは無しにして、私は新幹線で涙がこらえきれなくなり、この本を新幹線内で読むのをやめました。

確認のしようがない話ですが、私睫毛がとっても長いんです。
メガネをしているのですけれど、結構調整が大変なんですよ。
いつもメガネ屋さんが困ります。
だから、瞳からこぼれそうな涙を我慢していると、まばたきをするたびに睫毛が涙をメガネの内側に飛ばして、汚してしまうのです。
以前、韓国に行ったおり、メガネが安いからと勧められサングラスを購入しましたが、これが問題で現在は車に置いてあります。
そのメガネをすると「謎のインチキ外人」と皆から言われます。
ようするに似合わないって事。

日常が永遠でない事。
今を生きている事。
しあわせな事が特別であり、すばらしい事なんだと、こころにこの本がストンと落ちてきます。
決して自ら死を選んではいけないね。
あなたが現れるのを待っている人が必ずいる。
自分の分かれた半分が待っている。

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一人きりのあの頃の私に伝えたい

本日は大掃除の一環で、我が家の「風のガーデン」の手入れをしました。
作業箇所を4箇所に区分しています。
飽きが来て作業をおろそかにしない為の工夫です。
一昨日より開始しており、明日に全ての作業が終了する予定です。
本当は…「風のガーデン」とはおこがましく、要するに庭です。
しかも、それほど大きくはない。

ただ、黙々と作業をするにはツマラナイので、久々にAMラジオを聴きながら作業をしておりました。
なんだか職人にでもなった気分です。
番組の内容は時節柄、08年のあなたの印象に残った歌とか、いちばんの思い出なんてのをリスナーから募集しています。
その中で、異なる番組ながら複数あった印象に残る歌にアンジェ・アキさんの「手紙~拝啓十五の君へ」がありました。

十五の僕には誰にも話せない 悩みの種があるのです
未来の自分に宛てて書く手紙なら
きっと素直に打ち明けられるだろう

…中略

ひとつしかないこの胸が何度もばらばらに割れて
苦しい中で今を生きている
今を生きている

…中略

荒れた青春の海は厳しいけれど
明日の岸辺へと 夢の船よ進め

…中略

大人の僕も傷ついて眠れない夜はあるけど
苦くて甘い今を生きている

…中略

ああ 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうな時は
自分の声を信じて歩けばいいの

「手紙~拝啓十五の君へ~」 アンジェラ・アキ

様々な思い入れや、思い出が寄せられた声にもありました。
未来の自分から、思い悩み、苦しむその時の大切な人に、そして自分に、その事が、どんな意味がある事で、何のために乗り越えなければならない事なのか知らせる事が出来たなら、どれだけ気持ちは楽になるでしょうか。

私にも同じ様な思い入れのある曲があります。
プリンセス・プリンセスの「ONE」です。

この曲はアルバムの一番最後の曲であり、ミデアムテンポでドラマチックな展開ではなく始まり進みます。

悲しい恋の行方に立ち止まり
もう二度と誰も愛せないと思った
あの日 この恋に出逢うまでは

今では微笑みの中で ほこりをかぶった 蒼いスローモーション

「ONE」 プリンセス・プリンセス

とここまで進んだ曲のドラムもベースもギターもこの歌詞の後に止まり、ストリングスが全てを引きとります。
ん~この展開はズルイと初めて聞いた時は思いました。
そして、この後に、

恋を失くしてさむさに泣いていた
一人きりのあの頃の私に伝えたい
「ねえ泣かないで大丈夫。
あなたの最後の恋に今ここでやっとめぐり逢えた」と

「ONE」 プリンセス・プリンセス

と続きます。
膝を抱えて悲しむ大切な人に、そっと幽霊(おじさんには妖精とは書けません)の様に近づいて、こんな事をささやけたら…。

努力とは底が見えない水がめに水を入れるようなもの…と言ったのを聞いた事があります。
終わりがどこにあるのかわからない。
いつ終わるのかわからない。
しかし、もう限界だと思う時、実は水がめの水は溢れる寸前だとか。
当事者はそんな事を言われても、目の前の事態が解決されないのだから、やっぱり辛い。

起きてしまった出来事が変えられないとしたら…。
大切な人が過去に辛い事があるならば、その時へ行って、未来への希望を灯したい。
今、苦しんでいるならば、将来から今の苦境に打勝つ、未来への希望を灯したい。

「手紙~拝啓十五の君へ~」も「ONE」も、そんな思いは共通している様に思うのです。

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愛が哀しいから

近所の神社でのお祭りの事。
私が小学生、弟は幼稚園の頃。
弟と二人で出掛けて、はぐれてしまい弟は迷子になりました。

お祭りの人ごみ中を必死になって探しました。
あっ…いた!
弟はその神社の鳥居の近くにある交番にいました。
パイプ椅子に座って、おまわりさんの方を向きながら、泣きじゃくっている姿が見えました。

家から神社まで、歩いても5分とかからない場所です。
でも、幼稚園の子供には未知の遠い世界。
夜、はぐれてしまった心細さはどれほどだったでしょう。

夕暮れに迷子が泣いているよ
大声で名前を叫びながら

あんなにも愛しい人のことを
まっすぐに呼べる強さは何故?

誰も迎えに来てくれないのが
分かった日から僕らは泣けなくなった
ああ、だから君に逢いたかったんだ

愛が苦しいのに
何故僕らは出逢うんだろう?
信じたいと何度も願うんだろう?

愛が哀しいから 徳永英明

つないだ、重ねた手のあたたかさ。
抱きしめた時の、抱きしめられた時のぬくもり。
大切な人の哀しみを分かち合い、喜びを共に喜べること。

傷つけ、傷つくこともあるけれど…。
愛は哀しいだけでは、苦しいだけではないこと。

この曲タイトルと内容が異なるところが、なんとも妙味ですね。
徳永英明さんの声もいい。

夜に聞いちゃいけないですね。

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しあわせのランプ(Chapter2) ナラタージュ

あなたが花なら 沢山のそれらと
変わりないのかも知れない

僕がここ在る事は あなたの在った証拠で
僕がここに置く唄は あなたと置いた証拠で

生きる力を借りたから 生きている内に返さなきゃ

…「花の名」 BUMP OF CHICKEN

小学3年生になると、誰が誰の事を好きだなんて話が出るようになる。
自分にはまったく関係のない話だと思っていた。

彼女は私を好きだと公言しだしたのだ。
その理由はわからない。
瞳が大きく、髪の長い可愛い子だった。
晴天の霹靂で私は戸惑ったのだ。

それからの毎日は大きく変わった。
何より、学校へ行くのが楽しくなった。
単純なもので、席が隣になり、いろいろな事を話するのが楽しい。

まったく本当に子供なのに、彼女は結婚したら、旦那さんにはこうしてあげたいとか、どう反応してよいかと思う話もあった。
ませた私はそんな生活も想像をしたりしたのだ。
自転車でころんで作った傷に、本当に心配してくれた。
痛くも無いのに、心配されるから少し痛いふりをしてみたり…。
未来は明るい…なんて。

彼女はあまり体も強い方ではなかったと思う。
休みが長くなると、私はとても心配だった。
彼女の仲の良い友達から、アデノイドの手術だと聞いて心配したりもした。
一喜一憂する私の様子を家族も記憶に留めていた。

ピンクレーディーが全盛の頃。
彼女と彼女の友達が衣装もしっかり用意して、放課後にピンクレディーショウが学校で開催される事があった。
これには、私と彼女の友達の大切な人だけが、招待される特別なショウだった。
観客は私ともう一人だけ。

それは突然だった。
彼女は転校する事となったのだ。
記憶が欠落している。
クラスで転校の挨拶をする彼女の記憶がないのだ。
ドラマでもよくあり、その後も幾度も繰り返された、教卓に立つ先生の横に立って彼女が挨拶している風景の記憶が欠落している。

おそらく土曜日の事。
彼女の友達が私に目を涙いっぱいにしながら、彼女からの手紙を渡した。
「あなたの事が本当に好きだったって…」
キキララのピンク色の封筒だった。
手紙には彼女の友達の言葉通り、本当に好きだったと書いてあった。
その手紙は今はない。
他に何が書いてあったかも記憶にはない。

とてつもなくショックだったし、悲しかったが、涙は出なかった。
泣けなかった。
どうしようもなくなり、彼女の家まで行った。
彼女の家は4階建ての団地の3階だった。

彼女の家を私は知らなかったのだ。
ある日、偶然自転車で彼女の家の近くを通った時に、ベランダにいた彼女に呼び止められた。
最初はどこにいるかもわからず、あたりをキョロキョロ探していた。
彼女はベランダから手を振っていた。
うれしくて、彼女の家のベランダの下へ行った。
彼女はいったん家へ入ると、アメ玉を下にいる私に落とした。
そんな事で彼女の家を知る事となった。

ベランダ側から見上げた彼女の家は既に人の気配がなかった。
ベランダに置いてある物は何一つなく、窓にはカーテンもなかった。
もしかしたら、引越しのトラックが表側にいるかもしれない。
もしかしたら、最後に挨拶に来るかもしれない…待っているかもしれない。

誰かから大切にされる…この気持ちはその後の私に大きな自信を与えた事は間違いない。
小学校の学級委員は人気投票の意味合いが強かったが、私は3学期の学級委員となったのだ。

きっと、子供だったから愛とは違うとかじゃなくて、
子供だったから、愛してるってことに
気付かなかったんだよ

「ナラタージュ」 著 島本理生

ひとつ、とても温かいランプが灯された。

しかし、私は満たされてゆく日々の中でランプの灯りを見失ってゆく。

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蝉しぐれ

大林宣彦監督の映画「さびしんぼう」の1コマ。
主人公が入る風呂にいつも無口な父が、いつもの通り無口で狭い風呂に無理やり入ってきます。
その主人公の無口な父親が語る一言。

人を好きになった事があるか?
人を好きになれ。
その人の全部を好きになれ。
嬉しい事も哀しい事も全部好きになれ。

この言葉がとても印象に残りました。
しかし、映画を見た時分は高校3年生。
まだ、その言葉の意味もよく分からなかったのです。
この言葉の後にストリングスの「別れの曲」のメロディーと尾道の瀬戸内海に沈む美しい夕陽が映ります。

昨日、取引先の30代半ばの人と2次会のクラブで飲んでいる時の事。
酔いつぶれる寸前に、あの人が忘れられない…と彼が呟きました。

これまでの生涯で忘れられない人がいる。
成就しなかった恋ゆえか。
その人がその後に伴侶にめぐり合い、子供を授かり幸せに暮らしている。
その人が今、幸せに暮らしている事が何より嬉しい。
幸せになってくれてよかった。

その人をただ見守ってきただけではなかった。
でも、後悔でいっぱい。
その後に恋をしても、その人が中心であり、その人と全て比較してまう。
あの人以上の人は現れない。

あの人なら、どうしただろう…
あの人なら、喜んでくれただろうか…
あの人なら、あの人なら…

私の近くにいた彼女は「私もそんなに思われてみたい…でも、早く新しい恋をした方がいい」と言いました。

彼が眠りに落ちた後、彼の近くにいた彼女が話を引き取りました。
それは自分にも忘れられないその人がいるとの話でした。

ささいな事から、距離を置きたいといった相手の真意が理解出来ずに、極端な判断をしてしまった。
関係が修復できると思った時には、大切な人がいて、守るべき大切な人がいた。
5年後の誕生日に互いにどんな境遇でも、もう一度この場所で、この時間に逢って欲しい…。
果たしてその約束は…5年後にまもられる事となった。
歳月も、今の関係も逆戻りはしないけれど…10年後の再会を約束してまた別れた。
10年後の約束が守られるかはわからない。
しかし今、守るべき大切な人と2人の暮らし中で、その日を楽しみに待っている…。

酔いつぶれた彼の顔をみながら、話を引き取った彼女の話を聞きながら私は思ったのです。

いつまでも一所には留まってはいられない。
過去に捉われていては、未来は見えない。
忘れられない人の存在はどんどん大きくなってゆく。
自分の心の中で大きくなり、思い出はもっと鮮明になり、せつなくなる。
でも、また人を愛せる。愛してみよう。

そんな事で金曜日の夜に自宅に帰れず、もう1泊してから帰宅せざるを得ない事となりました。
帰宅して、たまたまテレビで「蝉しぐれ」を放映していました。
藤沢周平さん原作の「山桜」が映画化されたその宣伝が目的でした。
「蝉しぐれ」は原作を読み、映画もテレビで放映された際に見ました。
見始めた時、既に内容はクライマックスにかかっていました。
結局最後まで見てしまい、フト前夜の事を思い出しました。

そして…昨日、いつまでの同じところで留まり…と思う自分の気持ちを疑いました。
人を好きになった時の大切な気持ちを忘れているのは自分ではないのか。

「うれしい。でも、きっとこういうふうに終わるのですね。この世に悔いを持たぬ人などいないでしょうから。はかない世の中…」
藤沢周平 蝉しぐれ

大切な人が喜ぶ時、自分も嬉しくてたまらない事。
大切な人が悲しみに心沈む日、同じように悲しくて仕方がない事。
大切な人を愛する事でやさしい気持ちになれた事。
誰かを愛したその時の気持ち、その時の自分の気持ちだけは、忘れてはいけない。

忘れられない人がいる…そんな気持ちになるほど全身全霊で人を愛する事ができる事。

日々の事に忙殺され、忘れかけている事を思い出させてくれました。
消えかかっていたランプの灯りが大きくなりました。

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