言葉では説明できない…ぬくもりの事
私は髪が長い方です。
しかし、高校2年生まで坊主頭でした。
学生の頃は真ん中分けで、メディアへの露出度が高かった頃のふかわりょう…みたいな髪型でした。
空手の試合などでも、長い髪というだけで結構敵意を持たれたりしました。
時はバブルで、同じ様な髪型がたくさんいました。
そういう髪型はチャラチャラしているイメージが強かったのだと思います。
現在もその延長線上ですが、そこはサラリーマン。
しっかりおでこは出しています。
でも、真ん中分け。
古い先輩達は入社当時、スケベ分けとかおっしゃっておりました。
ご先祖様を見るに、以後髪型が変わる心配はなさそうです。
子供の頃から髪は固く、何もしないで伸ばし放題だとヤマアラシとか揶揄されました。
ところが、これが現在はとてもいい方向です。
髪が固く、ストレートなので、整えると自然と段がつきます。
様々なところで、どれくらいの頻度で美容院へ行くのですかとか、いくらぐらいかかるのですかとか、どこで誰に整えてもらっているのですか?
と、答えるのが恥ずかしくなる質問をされます。
そんな質問をされると、いつもの床屋の親父の顔が浮かびます。
ニコッと笑うと、最近歯に隙間が見えるようになったあの親父。
カリスマ美容師とは言わずとも、超絶技巧の整髪士とでも申しますしょうか。
そして、日々のスタイル維持の為、私にはケープは必需品です。
1月の成人の日を含む3連休は人間ドックの予約をしており、帰京しておりました。
先日の長い正月休みの事が頭になく、おおよそ1年後だからと予約していたのです。
妻とふたりで出かけました。
検査項目にある眼の検査です。
眼圧を調べるのに、小さなのぞき窓をのぞき込んでいました。
すると必殺シリーズの京本政樹よろしく、私の髪がおでこに垂れており、写り込んでいる模様でした。
その時、検査をしている女性が私のその髪をそっと、指で戻したのです。
ドキリとしました。
した事はあっても、された事はありません。
真っ暗な眼科検査室で、しなやかな細い指は確実に、そして的確に私の髪を捉えたのです。
惚れてまうやろー
夕暮れ、帰阪の際、乗換のキー駅での事です。
冷たい風が吹き、乗換用のデッキはどこにいても寒い状況でした。
暗い寒空の下、HISのチラシとHISの青いティッシュを配る女の子がいます。
いつも、この時間と時期にその作業が必要なのだろうかと思います。
本当に効果があるのだとうかと。
なんだか少しアレルギー反応があった私は、有り難くひとつ受け取り頂戴しました。
そのティッシュとチラシを受け取ると、そこには、そのティシュには、手に抱えていた配る女の子のぬくもりが移っていました。
微かに暖かいのです。
福岡支店に勤務している頃は、まだ長男も幼稚園に通っておりました。
夏休みや冬休みなど、長い休みになるとそれぞれのおじいちゃんやおばあちゃんのところへ遊びに行っておりました。
私はしばらく福岡で一人暮らしです。
そんな折、私も休みを合わせて合流する前の事です。
出かけた先で着る予定の洋服を先に宅急便で送ったのです。
それを届け先で妻が明けた際、近くにいた長男が私の服を見つけました。
すると、それを顔にあててこう言ったのです。
「お父さんのにおいがする」
長男はしばらく手から放さず、昼寝する時もその服を抱え込んで眠ったと後で聴きました。
今日、帰りの新幹線で座席で座りなおすと、着ているシャツから違う香りがします。
大阪の別宅で私が使用している柔軟剤とは違う香りです。
それは妻が洗濯をし、仕立てくれた証です。
人はどこか、言葉で説明できない事に安心したり、嬉しくなったりする事があるのですね。
…ところで、現在東海道新幹線「のぞみ」は山手線並の間隔で出発しているのをご存じですか。
今日、私は19分と29分で、自分が乗車する電車を間違えました。
予約済みの電車に乗ると、自分の指定席に誰かが座っています。
妻に持たされた夕食のお弁当を食べる事で頭がいっぱいだった私は、もうなんて思いながら席に近づいて行きました。
チケット見せながら「お間違いではありませんか?」と訊いたら、間違っていたのは私です。
お詫びし、自由席に向かおうと思いましたが、一番近い自由席まではおよそ8両移動しなければなりません。
途中で車掌さんに、事情を話し、どこか空席ないかと訊くと「ない」とのつれない返答でした。
仕方なく、一杯飲んだと思ってグリーン車に席を確保しました。
だから、満喫すると共に、横柄に席を使ったやろうと貧乏人根性で、キーボードを必要以上にバシバシ叩いています。
自分は携帯音楽プレーヤーで音楽を聴いているので聞こえません。
ザマあみろ
…って、誰に。
自分のそそっかしさ加減に涙が出ます。
最近のコメント