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2012年5月13日 (日)

ちょっと切なくなる、でも嬉しい話。 そして、切ない楽曲です。

ブランドに恋してしまう事は誰にでもあって、とても輝いているからこそ、無理の無い話しです。
ブランドに恋してしまうとは、その人物そのものよりも、その人物の周辺の事が中心で、それに恋してしまう事です。
例えば、○○に勤めている人がいいとか、○○部のキャプテンだからカッコイイとか、職業だったり、年収だったり、見栄で、見栄が恋をすると言った感じでしょうか。
始まりはいろいろなので、簡潔に表現するのが難しい事でしょうか。

いろいろな憧れから恋がスタートし、互いの理解が進んで、共にハッピーであればこれが一番です。
でも、ブランドだけに恋していれば、それが無くなってしまったら、それで終わり…とさびしくなります。

少し前にサラリーマンの間で流行ったブラックジョーク?
いえいえ、結構マジな話です。
旦那が家に帰って一言。
「今日俺、会社でリストラされた」と言った時、奥さんはどう反応するか。

【1】「なんであなたがリストラされなきゃならないの!!」
【2】「(生活費は)明日からどうするの?」
【3】その他

【1】だよね。【2】は哀しい。
【3】は夫婦により、パートナーのタイプによりいろいろでしょう。
おじさん達の、飲み席での与太話です。

フェラーリに乗っていたり、クルーザーを持っていたり、それは素敵な事だけれど、あなただから楽しいとか、あなたとだからいい…が欠けていると、何か大きな大事なものが不足している気持ちになります。
フェラーリも、クルーザーもないから、ヤッカミみたいだけれど、恋だけじゃお腹が空くから、やっぱりしっかりと生活もしなければならない。
日常があるから、非日常がきっと楽しいのであって、ディズニーランドも毎日はいられない。

JR東日本の新幹線にあるフリーペーパー「トランヴェール」で、角田光代さんの連載があります。
「目的地まで、あとどのくらい」の13回目「あの夜の若い二人」というエッセイを読みました。
東日本大震災から約1ヶ月後に被災地へ入った時の出来事です。
昼間に垣間見た風景に、お酒の量が増えざるを得ず…。
飲食後に立ち寄ったじゃじゃ麺店で出会ったカップルの事でした。
角田さんが、そこで出会ったカップルふたりの結婚式に、花束つきの祝電を送る事を約束し、約束を実行します。
そして、後日受け取った二人から、礼状が届きます。

女性は岩手、男性は福島在住で、来月結婚するのだという。
いっしょに暮らす予定でいたけれど、今回の震災で、少しのあいだそれがむずかしくなり、とうぶん遠距離結婚になるとふたりは話してくれた。

中略

結婚式の写真も同封されていた。
読んでいてあの夜を思い出し、私は泣いた。
ありがとうと言いたかったのは私だったのだ。
壊れて流されたいくつも暮らしを見て、自分の無力さを思い知って、ひたすらに言葉を失って、夜更けまでごまかすように飲んで、そんなとき、いろいろ問題はあるが、それでもこれから生活を作り上げていくという二人に会って、私はなんだか救われたような気持ちになった。
お礼を言いたいのは私だと、早速返事を書いた。

じゃじゃ麺屋で相席した若い二人のしあわせそうな写真を、今も私は持っている。

トランヴェール「目的地まで、あとどのくらい」
「あの夜の若い二人」 / 角田光代

それぞれ異なる環境で育って来た二人が、一緒に生活を築いて行くのだから、楽ではない事もあります。
でも、ふたりで新たに作って行く事は楽しい事です。

結婚した頃はamazonも見られる環境にはなく、新聞広告を見ながらしるしをつけて、お目当ての品物のために開店前に並んだりしました。
結婚した年、平成5年の米パニックの時は、タイ米を買ったけれど、どう料理しても口に合わなかった事。
MJBのコーヒーが大きな缶で「お得だね」と思って買ったら、やっぱりこれも…。

新しい生活を作って行く。
それはとても楽しい事で、二人の共通部分が増えて行く事は、互いの理解も深まるし、一緒に出来た事、共有した事はとても大切な財産になります。
普段は意識していないけれどね。

このエッセイに出てくる二人が、きっとたくさんのものを失ったけれど、まず二人が生きて、変わらない愛情を持ち続けている。
これがまぶしいのだろうな。

ここ最近、行きでも帰りでも通勤時や出張の時に1日に1回必ず聴いているアルバムがあります。
DANCING WITH A GHOST
VALENCIAのアルバムです。

打ち込みではなく、バンドがしっかり演奏をし、そして歌っています。
JAPAN BONUS TRACK が最後に2曲あるのですが、これがいい。
どの楽曲をとっても良くて、どこから、どの楽曲から聴いてもいいのです。

このアルバムで角田光代さんのこのエッセイにピッタリの楽曲があります。
この下のYouTubeから拝借した楽曲を是非聴いてみて下さい。

You are what you leave,like the simple lessons my dad taught me.
I know we all grow old and die and make our place in another life.

I'm glad that there's still time to let you know,I still need your around.
I'd be lost without you.
I'm not sure I could face this world on my own.

父さんが教えてくれた教訓
みんな年をとって死んで
別の命にまた居場所ができる
まだ君に伝える
時間があって
良かった

オレたちが先に進んでも、まだ傍に居て欲しい
君がいなかったら、オレは彷徨ってしまう
一人で世の中と向き合えないと思う

Still Need You Around (Lost Without You) / VALENCIA


ちょっと切なくなる、でも嬉しい話。
そして、切ない楽曲です。

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