Sympathy of the Heart 心の共感
私の着ていたセーターの模様が、その子の知っている何かと同じマークに見えたらしく、見つけた事が嬉しくて指を指していました。
2歳ぐらいの男の子です。
ファミリーレストランで食事をしていた時の事です。
私もニッコリ微笑んで「ん?何のマークに同じなの?」と訊きました。
するとその子のお母さんが駆け寄ってきて「すみません」と言って彼を連れて行きました。
私のいる席から右斜め前のコーナーでした。
お父さんとお母さんに子供がふたり。
先ほどの2歳ぐらいの子供と乳児でした。
ちょっと気になって見た時の事。
お父さんはスマホを見ながら食事をしています。
お母さんは乳児の様子を見ながら、さっきの2歳ぐらいの子供に食事を与えています。
お母さんは殆ど食事をする事が出来ません。
でも、お父さんはまったく気にする事なく、スマホとにらめっこしながら、黙々と食事をしています。
余談ですが、青春がバブル世代の私は、女性をレストランでエスコートする際に、席は必ず女性が壁を背にする様に案内する。
これが暗黙の了解でした。
これが福岡へ転勤した際にまったく逆だった事で、とても地域性を感じた事がありました。
さて、話は戻ってファミレスの事。
加えて、この家族に会話が無いのです。
勿論、ジーッと見ていたわけではありませんが、お父さんはやっぱりスマホとニラメッコです。
お父さんがそんなに威張っている様子はありません。
きっと気づかない、気づいていないのだと思います。
現在の状況に共感したり、想像したりする気持ちが欠如しているのかもしれません。
お母さんが、お父さんに「ねぇ、ちょっと代わってくれる?」と言えば、何も迷う事無く、躊躇する事なく代わっていたと思います。
でも、これは言われなくても、状況から判断して「代わる」と言ってもいいのではないかと思うのです。
夫婦でも、恋人でも互いに関心を示さなかったり、関心がなくなったのであれば、ただのペアに過ぎません。
デートで漫画喫茶に行く。
それぞれ違う漫画を読んで、時間になるとそれぞれ帰る。
それがお互いの趣味であれば、それでいいと思うのですが、それぞれ読んでいる本の話は何時するのだろうか。
デートって互いが積み上げる共通の時間、出来事で、それぞれ違う環境で育ってきたふたりが、相互に理解する為の大切な時間ではないのか。
もっと一緒にいたい、もっと知りたい。
私が齢を重ねたが故に思うのでしょうか。
愛されるべき子供たちが、虐待され、傷つけられるニュースが後を絶ちません。
これまで以上に、親が追いつめられている事も間違いないと思います。
我々を取り巻く閉塞感は、誰に説明の必要もない事です。
でも、我々は人の子の親になる瞬間に変わらねばならない大きな事があります。
特に男性は女性と違い、人の子の親になる時、出産という大きな契機が無いのだから、心の内から変わらねばならない時があると思うのです。
それは自分が一番ではなくなる事。
それを理解する事と私は考えるのです。
少し極端な表現です。
子供は親に対し自分がいちばんです。
何よりも自分を大切に思い、自分が保護されるものだと考えます。
大人の男になる時、まずこの考えから、そして思いから、完全に離れていなければなりません。
この思いを持ち続けていると、例えばお付き合いをした女性に母親と同じ事を求める事になると思うのです。
自分が愛している女性に対して、何をおいても自分がいちばんでなければ不満となるのです。
違う環境で育ってきたふたりが、最初からトップスピードで思いを通わせられる事は稀です。
だから、大人の男になれていない者から見れば、どうしてわかってくれない…と思う気持ちが増幅し、相手の女性は「私はあなたのママじゃない」という気持ちになります。
最悪、男はこの思いを暴力で服従させる事で遂げようとします。
私は大学時代のホームスティで来たアメリカ人に、大人の男になる…この事を認識させられました。
直接指摘されたわけではありませんでしたが、外側から見た幼稚さを痛いほど認識させられました。
彼は同じ年齢ではるかに大人の男でした。
同じ事を経験(体験)して行く事で、お互いの思いを知ったり、ふたりの新しい共通の歴史が出来て、もっと仲良くなれないでしょうか。
出来上がったステージに上るよりも、一緒に作ったステージの方が強いところも、弱いところも知っていて、いろいろな事に対応出来ると思うのです。
そして、きっとその方が楽しい。
持っている物は、失えばただ終わり。
作り上げたものは、一時失う事があっても、それまでの道筋を知っているのだから、比較的簡単に再生する事が出来ます。
「オレの狙いはこの女を追ってくる男。」
「なにい!! 女の…たかが女のためにこの修羅の国に追って来る男がいるというのか?」
「この国の人間には判るまい!! 男はおのれのためにのみ生きず!!」北斗の拳 修羅狩り序章の巻
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